浪曲「10周年富士綾那独演会」浅草見番

「ゆうれい奇談」富士綾那/曲師:沢村博喜
曲師の沢村博喜さんが綾那さんのために当て書きした新作浪曲。夫婦が東海道の河原で石と間違えて拾った髑髏が品川の大店の息子のもので…。夫婦がいいことをしようとしている最中にお礼を言いに来た幽霊の出方が可愛い。ふざけたチラシはその時のお顔なのかと納得。ヤクザ一家との闘いでは、夫婦の旦那が強く、幽霊息子も存在自体で活躍。最後は夫婦が大店を引き継ぐという幸せな内容の演目でした。

「太刀山と清香」富士綾那/曲師:沢村博喜
上野精養軒で力士の太刀山と芸者の清香が出会う場面から。太刀山の師匠友綱が高利貸しの赤沢に借りた2千円の借金が利息を含め2千8百円。八百長で常陸山に負ければ、その借金が帳消しなるから負けてくれと病床の友綱に頼まれ、困り果てている。清香の話し方が昭和のラジオドラマみたいでとても良い。その借金を清香が肩代わりし、八百長無しで相撲に挑む太刀山。7日目の常陸山との取り組みまでテンポ良く。結末に向けて盛り上がりますが、まさかの勝負が付く前に終了!きっと太刀山が勝ったと思う。情報量が非常に多いため、頭に入ってこない部分もありましたが、今後が楽しみな演目です。

「赤穂浪士の外伝(村松三太夫)江戸の雪晴れ」富士綾那/曲師:沢村博喜
三席目の前にしばし歓談。ネタが無い、とボヤく綾那さんを見かねて沢村博喜さんが作った「ゆうれい奇談」「耳なし芳一」の解説。本日発売のCDも購入しましたが、音量が小さくて驚く。沢村博樹さんが帰宅すると港家小そめさん(博樹さんの奥様なの!)と綾那さんがとんでもない話をしていた話に爆笑。その後、感極まり涙を見せる場面もありました。

薪割りの身をやつしている赤穂浪士の村松三太夫の話、頼まれた薪割りに30両を要求する不器用さ、何故か気に入られて、よくしてくれる刀研ぎ屋主人の喜平次にも「おい!おやじっ!」と怒鳴るなどぶっきら棒なキャラクターが楽しい。「きんぴら牛蒡みたいなタバコ」とはどういうタバコなんだろうか。最後の2人の別れから、吉良邸討ち入り、両国回向院での再びの別れまでなかなかグッとくる内容。二席目の山を越えたためかどうなのか、声量も節も今日一番良く感じました。今後も二十年、三十年と応援しております。

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