浅草公会堂で2日間開催された尾上右近自主公演 「第七回 研の會」へ。第7回だそうですが、初めての拝見です。平日昼の公演ということもあるでしょうが、女性客9割くらい。1本目は夏名物の『夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)』から。
配役
団七九郎兵衛/お辰:尾上右近(音羽屋)
一寸徳兵衛/三河屋義平次:坂東巳之助(大和屋)
玉島磯之丞:中村種之助(播磨屋)
傾城琴浦:中村莟玉(高砂屋)
団七倅市松:羽鳥嘉人
おつぎ:尾上菊三呂(音羽屋)
お梶:中村米吉(播磨屋)
釣船三婦:中村鴈治郎(成駒屋)
大阪が舞台、鴈治郎さんの喋りがコテコテなだけに、他の演者の話し方に少し違和感が。団七の出、ちょっとヨボ過ぎないか。腰も曲がって、じじいにしか見えないのは流石にやり過ぎでは。鴈治郎さんの赤褌の場面は爆笑、流石です。赤い帯もとても似合っている。辻札を使っての右近君、巳之助君、米吉君3人の見せ場は、このお三方で見られただけで満足感が。「三婦内の場」はさらっと、 鴈治郎さんがいなかったらどうなってたんだろうか。焼き鏝を顔に当てる場面は、演出がリアルで痛い。最後の見どころ「泥場」は照明が暗くなることもあり、まさかの眠気が。若い役者に義平次は難易度高いな(しかも二役)、団七も全体的に清潔感が有り、上品なので、ブチ切れる説得力にいまいち欠けるか。良い意味で上方的な執念さ、泥臭さが必要な演目なのかもしれません。祭りの若い衆の中に米吉君、種之助君、莟玉君がいたのは気づきませんでした。。。
2本目は大定番の所作事『京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)』です。
配役
白拍子花子:尾上右近(音羽屋)
能力:中村種之助(播磨屋)
能力:中村米吉(播磨屋)
聞いたか坊主が大勢出ないシンプルな道成寺は初めて拝見しましたが、良い。今まで見た右近君の中で一番綺麗だったかも。後見も莟玉君、菊三呂さんで見目麗しい。最初の義太夫節による花道の所作は、溌剌とした娘の様子が印象的。米吉君の凛々しい能力姿に惚れ惚れ、途中の間狂言の場面は、種之助君に「当代きってのお喋り」と評される米吉君の「まい尽くし」も楽しく、播磨屋で、しかも同年代の2人の醸す雰囲気がとても好ましい。色とりどりの華やかな衣装、身体能力の高さを感じる所作も、滑らかというよりは非常にキレが良く、海老反り姿も理想的。最後の鐘入りの場面でも、安珍に対する恨みはあまり感じられません。動ければいいというだけではない日本舞踏の難しさを感じましたが、大変に素晴らしい舞台でした。今回3等席でしたが、素敵な所作事はなるべく近くで見たいものです。いつもの歌舞伎座の癖もあり、カーテンコールを見ずにそそくさと退場しました。
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