歌舞伎座で「秀山祭九月大歌舞伎 昼の部」を拝見しました。1本目は『摂州合邦辻 合邦庵室の場』です。
配役
玉手御前:尾上菊之助(音羽屋)
俊徳丸:片岡愛之助(松島屋)
奴入平:中村萬太郎(萬屋)
浅香姫:中村米吉(播磨屋)
母おとく:上村吉弥(美吉屋)
合邦道心:中村歌六(播磨屋)
玉手御膳の菊之助さんが素晴らし過ぎる。台詞や動きも文楽を連想させるのもとても良い。結末を知って見ているものの、本当に俊徳丸に恋心を抱いているとしか思えない演技。仲睦まじい2人にぶち切れて蹴殺そうとするのは、刺されるための嘘でしょうが、俊徳丸とは血が繋がっていないので、恋と愛がミックスされていても仕方ないのか。その後の長い言い訳も言葉に力があり飽きさせない。親と武士の心に迷う歌六さんと愛情たっぷりの吉弥さんもばっちりな素晴らしい舞台でした。
2本目は夢枕獏原作の『沙門空海唐の国にて鬼と宴す(しゃもんくうかいとうのくににておにとうたげす) 』、2016年4月に上演された新作歌舞伎『幻想神空海』をアップデートしたものだそう。
配役
空海:松本幸四郎(高麗屋)
楊貴妃:中村雀右衛門(京屋)
白楽天:中村歌昇(播磨屋)
廷臣馬之幕:大谷廣太郎(明石屋)
玉蓮:中村米吉(播磨屋)
春琴:中村児太郎(成駒屋)
阿倍仲麻呂/高階遠成:市川染五郎(高麗屋)
橘逸勢:中村吉之丞(播磨屋)
杜黄裳:松本錦吾(高麗屋)
白龍:中村又五郎(播磨屋)
丹翁:中村歌六(播磨屋)
憲宗皇帝:松本白鸚(高麗屋)
楊貴妃にまつわる不思議な話、台詞で話が進む場面が多く、ややテンポが悪く感じますが、妓楼の玉蓮を演じる米吉君が今までになく綺麗で、登場している場面は間が持つよう。平行眉が多いですが、上がり眉が美しい。茶目っ気のある演技の歌六さん、吉之丞さんのご活躍が嬉しく、雀右衛門さんの楊貴妃も驚くほどお綺麗ですが、いまいち物語に入れず。楊貴妃の好物のライチで実際は大問題、鬼たちもおどろおどろしさはありますが、愛嬌もあり可愛い。久々に白鸚さんのお姿も拝見できて有り難い。来月の歌舞伎座も楽しみにしております。
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