「輪(WA)」浅草ロック座

新橋演舞場で「初春大歌舞伎 昼の部」を拝見した後は、今年初の浅草ロック座で「輪(WA)」を拝見しました。

0景「三番叟」ゆきな(樋口みつは、永澤ゆきの)
拍子木、東西声、口上と続く伝統芸能でお馴染みの流れ、口上は出演者の自己紹介のみですが、1月7日までの期間限定だそう。その後は三番叟烏帽子、鈴を持ち今年のロック座を寿ぎます。

1景「ουροβóρος」ALLIY(原美織、樋口みつは、ダンサー4名)
チラシにも古代ギリシヤ語で記載のある「ウロボロス」は、自分の尾を噛んで輪状になった蛇のこと。ALLIYさんはブルーの着物、他は留袖の芸者風の着物。カラフルな布を短い紐を使いグルグル回すダンスがウロボロス感。手の動きも蛇っぽく、盛り上げ方もしっかり心得ている。

2景「ある日どこかで」沙羅(南まゆ)
リチャード・マシスンのSF小説『ある日どこかで』より。上手に洋風のテーブルと椅子が置かれ、ゴージャスなカーテン風の幕、アメリカのパーティーの雰囲気。沙羅さんはピンクのドレス、南まゆさんは和洋折衷が素敵な袴姿。優雅な踊りに絶大な包容力が素敵。後日、小説がKindleで手に入れられなかったので、1981年日本で公開されたヤノット・シュワルツ監督の『ある日どこかで』を視聴。想像以上に切ない物語でした。

3景「新春歌謡ショー’25」樋口みつは(原美織、永澤ゆきの)
白いダンス衣装にニット帽、TRF、スピード、浜崎あゆみなど懐かしい楽曲に乗せて。盆上でのダンスは意外にしっとりと。

4景「五瓣の椿」ゆきな(ダンサー4名)
山本周五郎の時代小説『五瓣の椿』より。日本髪、赤い振袖という衣装が小作りなゆきなさんにとても似合うが次々に人を殺していく殺伐とした内容、4人目は椿の簪で、刺す。最後の能舞音楽劇?「義経記」のために作られたという『花の香が満ちみちて』の歌詞とリズムが鮮烈かつ強烈。そして、ゆきなさんは2025年3月でストリップ卒業、今月が最後の浅草ロック座、短い間でしたが素敵な舞台、ありがとうございます。

5景「ジョジョの奇妙な踊り子」原美織(南まゆ、沙羅、ALLIY、ゆきな、樋口みつは、永澤ゆきの)
楽しい映像からTVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』のオープニングテーマから全てジョジョ尽くし。ジョジョに馴染みがほぼ無いので曖昧ですが、原美織さんが「ジョナサン・ジョースター」、南まゆさんが「空条承太郎」、沙羅さんが「ジョセフ・ジョースター」、ALLIYさんが「ジョルノ・ジョバァーナ」 樋口みつはさんが「空条徐倫」、ゆきなさんが「ジョニィ・ジョースター」、永澤ゆきのさんが「東方定助」だったかしら。やっぱり舞台を跳ね回り、ウインクを連発する原美織さんはとてもチャーミング。

6景「Become Human」永澤ゆきの(ゆきな)
憑依タイプの演出は好みで、今回一番グッと来た景、フランスのゲーム「デトロイト ビカム ヒューマン」より。上手に朽ち果てた宇宙船、のようなもの。5景に続き衣装に非常に気合が入っており、立ち姿が美しい。人間とはどこかで相容れないアンドロイドの苦悩。ただ人間が良いかは全くわからない。とてもエモーショナルで想像力の膨らむ景でした。

7景「和」南まゆ(沙羅、ALLIY、ダンサー4名)
祭囃子の音楽から、茅の輪くぐり、ちょっと十二単っぽい虹色の着物に、巫女、鬼、江戸町奉行、陰陽師などの百鬼夜行風。後半、盆上で苦しそうな表情で踊り、ポーズを決める体の曲線がとても流麗、『凡人様』の歌詞がやたらに沁みます。

「フィナーレ」出演者全員
二張の和太鼓の前でのALLIYさん(1回目はゆきなさん)の男前な盆踊りから、浅草ロック座で調和が最高な東京スカパラダイスオーケストラの『Paradise Has No Border』に乗せて、太鼓と撥を使った間違いなく盛り上がるフィナーレでした。今年も楽しみにしております。

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