新春浅草歌舞伎 第一部『本朝廿四孝』『与話情浮名横櫛』『神楽諷雲井曲毬』浅草公会堂

新春浅草歌舞伎 第一部『本朝廿四孝』『与話情浮名横櫛』『神楽諷雲井曲毬』浅草公会堂
浅草公会堂で「新春浅草歌舞伎 第一部」を拝見、約2年ぶりの一等席です。1本目は『本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)十種香』です。

配役
八重垣姫:中村米吉(播磨屋)
武田勝頼:中村橋之助(成駒屋)
腰元濡衣:坂東新悟(大和屋)
白須賀六郎:中村種之助(播磨屋)
原小文治:坂東巳之助(大和屋)
長尾謙信:中村歌昇(播磨屋)

新悟君の真面目な挨拶から。序盤からの登場ということで5分ほど時間がかかり、幕開きと同時に強く漂うお香の香り、橋之助君の中央で動かない演技が素敵。そして、濡衣役の新悟君が良い!恋人の蓑作を勝頼の身代わりとして亡くし、辛く微妙な立場なのですが、複雑な心境が表現できており、この演目を裏で支えているのは濡衣だと感じる。米吉君の八重垣姫は想像通り、勝頼と八重垣姫のやりとり、微妙な感情の動きは近くでみないと分からないのかもしれない。勝頼の一瞬、八重垣姫に見惚れてしまう表情が最高、そしてやんわり断られた後の八重垣姫の「ハァ〜」という吐息も良い。濡衣も飽きれる、最後のいちゃいちゃはもう少し見ていたかった。『奥庭狐火』までやるのかと勘違いしており、残念でしたが、よく考えると今は『十種香』だけで終わっておいて正解と思い直しました。

2本目は『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)源氏店』です。

配役
切られ与三郎:中村隼人(萬屋)
妾お富:中村米吉(播磨屋)
番頭藤八:市村橘太郎(橘屋)
蝙蝠の安五郎:尾上松也(音羽屋)
和泉屋多左衛門:中村歌六(播磨屋)

どうしても仁左衛門玉三郎の『源氏店』と比較してしまいます。修羅場を切り抜けてきた風格は2人からは感じられませんが、これはこれで良い。尾上松也さんの蝙蝠安だけは、どうしちゃったの!?って感じ。誰かを手本にしたのでしょうか、台詞も聞き取りずらく、下品な人物にしか見えなかったのが残念。歌六さんの登場で舞台が締まるのは流石。親子なのに、兄妹役を演じてしまうのが楽しい。

3本目は楽しい所作事『神楽諷雲井曲毬(かぐらうたくもいのきょくまり)どんつく』、七代目坂東三津五郎の所縁の演目です。

配役
荷持どんつく:坂東巳之助(大和屋)
親方鶴太夫:中村歌昇(播磨屋)
太鼓打:中村種之助(播磨屋)
大工:中村隼人(萬屋)
子守:中村莟玉(高砂屋)
若旦那:中村橋之助(成駒屋)
芸者:中村米吉(播磨屋)
白酒売:坂東新悟(大和屋)
田舎侍:尾上松也(音羽屋)

浅葱幕が落ちると舞台に勢揃いの若やいだ華やかさ。歌昇君の花籠鞠の曲芸はハラハラでしたが、なんとか決まってめでたい。大工と芸者のカップルは、先ほどの「源氏店」の続きを思わせるサービス配役。常磐津の年配の方のお声が聞き難かったのは気になり、巳之助君のお顔が佐々木蔵之介に見えて仕方なかったですが、所作はキレと伸びとユーモア、安定感抜群です。米吉君を堪能できる目に福の嬉しい第一部でした。

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