十月大歌舞伎 第三部『梶原平三誉石切 鶴ヶ岡八幡社頭の場』歌舞伎座

十月大歌舞伎「第三部『梶原平三誉石切 鶴ヶ岡八幡社頭の場』」
ついに片岡仁左衛門さん歌舞伎座の舞台に立つ!待ってました!!演目は『梶原平三誉石切 鶴ヶ岡八幡社頭の場』、通称『石切梶原』、何と梶原平三景時を演じるのは16年振りだとか。本日初日です!

配役
梶原平三景時:片岡仁左衛門(松島屋)
六郎太夫娘梢:片岡孝太郎(松島屋)
俣野五郎景久:市川男女蔵(滝野屋)
奴菊平:中村隼人(萬屋)
大名山口十郎:市川男寅(滝野屋)
同 川島八平:中村玉太郎(加賀屋)
同 岡崎将監:中村歌之助(成駒屋)
囚人剣菱吞助:片岡松之助(緑屋)
大庭三郎景親:坂東彌十郎(大和屋)
青貝師六郎太夫:中村歌六(播磨屋)

幕が引かれ、浅葱幕が落ち、一同勢揃い。仁左衛門さん、やっぱり華やか!格好良い!ちょっと軽妙でニヤついたところもある梶原でしたが、決めるところは決める。素晴らしい!赤っ面の俣野五郎役の男女蔵さんは少し力が入りすぎな感じもしましたが、皆様とても良かった。彌十郎さんの「げにもっとも・・・」が出てこなかったのはご愛嬌ですね。一挙手一投足に見惚れる「目利き」、「二つ胴」の場面では酒のせいで師匠を殺害してしまった吞助(苗字は剣菱!)役の松之助さんが素敵。鬼ころし、菊正宗、白鹿、剣菱、百年の孤独、吉四六など酒尽くしの台詞、笑わせていただきました。ただ日本酒需要が減っているせいか、おそらく理解されてない酒名もあると想像され静かな笑いに。自ら二つ胴を試そうという俣野を、人睨みで静止する気迫、刀を振り上げる梶原と舞い落ちる紅白の梅の花びらの美しさ。勝気そうな六郎太夫娘梢役の孝太郎さん、こういうお役は絶品です。「石切り」は2人を左右に立たせ手水鉢を後ろからぶった切る華やかな型。歌舞伎らしさ全開の一幕、本当に素晴らしかった!

しかしその夜、剣菱吞助ではないですが、日本酒をしこたま(八合くらい)飲んでしまいせっかくの『梶原平三誉石切』の記憶が沢山デリート。。。二つ胴にされても仕方なし。。。歌舞伎の後で拝聴した柳家権太楼師匠の落語も酒の話だったし、飲まなきゃ仕様が無いよね。もう1回見に行こ。

そして数日後2回目拝見、今回は仁左衛門さんの表情、細かい動作を中心に拝見させていただきました。ずっと細かい演技をしていらっしゃるのですが、1つ疑問が。もし俣野が二つ胴がどうのこうのとごねなければ、そのまま大庭に300両で売っており、この物語は無かったことになりそう。二つ胴の失敗は、源氏側の六郎太夫の命を救うためで、剣は別にいらなかったのか?もしくは梶原は、俣野が何かケチを付けてくることが、最初から分かっていたのかもしれません。八幡の刻印を大庭が見れば、六郎太夫が源氏と関係有ると気付かれてまずいことになりそうな気もするので、まぁ、結果オーライ。自分の死を覚悟して梢に「お仏壇に御明かしを」と頼み、ひっそり別れを嘆く六郎太夫、そこから命を助かったことに気づいた際のチョコチョコと可愛い動作のギャップに萌えます。ちなみに青貝師は螺鈿の職人のこと。「剣も剣」「切り手も切り手」の名台詞の前に六郎太夫の「御恩は御恩、敵は敵」というリズムの良い台詞があるんですね。最後、花道を中盤とは打って変わった優しいお顔で悠々と行く梶原、その後を手を繋いで、支え合いながら笑顔で梶原を追いかける親子、とても幸せになる幕切れです(呑助には同情しますが)。初めて同じ演目を2度見ること(1回目の記憶が無くなったとはいえ)をしましたが、別の観点から色々楽しめて面白い。何度も行く方の気持ちがよくわかりました。ちなみに最後に手水鉢を真っ二つにするのは、殺生石をたたき割った玄翁和尚のオマージュだそう。非常に興味深いです。

歌舞伎座内側壁面に張り出されていた「吉例顔見世大歌舞伎」の演目もテンション上がりました!市川猿之助さんの『蜘蛛の絲宿直噺』、中止になった4月公演の『身替座禅』、『一條大蔵譚』、『義経千本桜 川連法眼館』!第一部、第二部、第四部はマストバイ!さらに、国立劇場十一月歌舞伎公演の演目も発表されましたが、中村吉右衛門さんの『平家女護島』、片岡仁左衛門さんの『彦山権現誓助剣』だと!!

とても嬉しい11月になりそうです!!!!

コメント

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