2025年の歌舞伎初めは、歌舞伎座で「壽 初春大歌舞伎 夜の部」を拝見しました。1本目は『一谷嫩軍記 熊谷陣屋(くまがいじんや)』です。
配役
熊谷直実:尾上松緑(音羽屋)
相模:中村萬壽(萬屋)
源義経:中村芝翫(成駒屋)
梶原平次景高:中村松江(加賀屋)
堤軍次:坂東亀蔵(音羽屋)
藤の方:中村雀右衛門(京屋)
白毫弥陀六:中村歌六(播磨屋)
先月の文楽同様、前半爆睡。筋を知っていても急に飛び出してくる藤の方は違和感がある。義経役の芝翫さんってこんな細い声だっけと驚きましたが、役作りなのか。弥陀六は歌六さんがお決まりのようですが、他の役者でも見てみたい。萬壽さんの相模は積極的な印象、やっぱり相模が一番哀れに思います。
2本目は長唄連中による舞踊劇『二人椀久(ににんわんきゅう)』、若手二人による踊りがやや現実的で元気が良い。
配役
椀屋久兵衛:尾上右近(音羽屋)
松山太夫:中村壱太郎(成駒屋)
「行く水に 映れば変る飛鳥川」から背景が変わり、セリから松山登場。踊りが激しくなる「按摩けんぴき」からの二人の呼吸も抜群です。しかしながら元ネタがわからず、詞章の意味もピンと来ないため、いまいち感情移入できません。「按摩けんぴき」は1774年の初演当時に流行った曲だそうですが、意味不明。しかし実は1人であの激しい踊りを踊っていると思うとかなり怖い。木にかかった松山の羽織が、実は自分の羽織だったと気づいた時の絶望感が堪りません。
3本目は幡大介の小説が原作、テレビドラマとしても放映されているという新作歌舞伎『大富豪同心(だいふごうどうしん)影武者 八巻卯之吉篇』、小説もテレビも全く知りませんが、単純明快で問題は全くなし。
配役
八巻卯之吉/幸千代:中村隼人(萬屋)
美鈴:中村壱太郎(成駒屋)
清少将:坂東巳之助(大和屋)
徳川家政:坂東新悟(大和屋)
真琴姫:中村米吉(播磨屋)
銀八:尾上右近(音羽屋)
溝口左門:中村吉之丞(播磨屋)
乳母岩橋:市川青虎(澤瀉屋)
箔屋寿太郎:市川寿猿(澤瀉屋)
傅役大井御前:市川笑三郎(澤瀉屋)
中臈富士島:市川笑也(澤瀉屋)
坂内才蔵:市川猿弥(澤瀉屋)
沢田彦太郎:中村亀鶴(八幡屋)
本多出雲守:市川中車(澤瀉屋)
荒海ノ三右衛門:松本幸四郎(高麗屋)
三国屋徳右衛門:中村鴈治郎(成駒屋)
幸四郎さんの演出らしい軽妙さ、荒海ノ三右衛門は最初の登場の時、絶対悪い奴だと思ったのですが、最後まで良い人でした。格好良い幸千代はともかく、卯之吉に特に魅力が感じられないのは原作やドラマを見ていないからなのでしょうか。右近君の古典駄洒落が興味深く、かっぽれが見られるのも嬉しい。気絶しながら銀八にぐるぐる回され闘う卯之吉、亀鶴さんの土下座芸も笑える、そして笑三郎さんの飲酒芸からのもどし芸が最高で爆笑、今年はもっと澤瀉屋の皆様を舞台で拝見したい。最後の総踊りはよくわかりませんでしたが、下旬に拝見する昼の部も楽しみにしております。
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