
歌舞伎座で「三月大歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』昼の部 Aプロ」を拝見しました。まずは「口上人形」による配役の読み上げ。端役まで読み上げるのでけっこう時間がかかる。拍手の大きさで人気がわかります。
配役
高師直:尾上松緑(音羽屋)
塩冶判官:中村勘九郎(中村屋)
桃井若狭之助:尾上松也(音羽屋)
鷺坂伴内:片岡松之助(緑屋)
加古川本蔵:嵐橘三郎(伊丹屋)
顔世御前:片岡孝太郎(松島屋)
足利直義:中村扇雀(成駒屋)
東西声からごくごくゆっくりと定式幕が開くのに気分が上がる「大序 鶴ヶ丘社頭兜改めの場」、文楽の形式にのっとり、役者に命が吹き込まれる演出と配役も素敵。大らかで美しい扇雀さんの足利直義、兜改めの場面は初めて見ましたが、兜の数も47、孝太郎さんの重みのある演技も良く、師直にしつこく口説かれ引いている様子は気の毒で笑える。松緑さんの誰が見ても憎らしいと思える黒い衣装の高師直、浅葱色の衣装の松也さん、黄色の衣装の勘九郎さん、幕切れの3人の姿がとても美しい。
「三段目」の最初の「足利館門前進物の場」、松之助さんが良い味出している。頼りない家来との頓珍漢なやり取りに爆笑。松の間の「出投げ」はちょっと失敗、ずっと師直の意地の悪さと卑屈さにイラつく場面ですが、滑稽さとのバランスが絶妙。加古川本蔵が屏風の裏にずっといるのは少し違和感があります。
続く「四段目」も塩谷家の家臣たちも含めて豪華で隙無しな配役。
配役
大星由良之助:片岡仁左衛門(松島屋)
塩冶判官:中村勘九郎(中村屋)
顔世御前:片岡孝太郎(松島屋)
薬師寺次郎左衛門:坂東彦三郎(音羽屋)
赤垣源蔵:中村松江(加賀屋)
富森助右衛門:中村男女蔵(滝野屋)
矢間重太郎:中村亀鶴(八幡屋)
小汐田又之丞:中村橋之助(成駒屋)
大鷲文吾:中村歌之助(成駒屋)
佐藤与茂七:澤村宗之助(紀伊国屋)
勝田新左衛門:中村吉之丞(播磨屋)
大星力弥:中村莟玉(高砂屋)
斧九太夫:片岡亀蔵(松島屋)
原郷右衛門:中村錦之助(萬屋)
石堂右馬之丞:中村梅玉(高砂屋)
実際の歴史上、由良之助は塩冶判官より8歳ほど年上なので、違和感無し。判官の由良之助に対する信頼の深さに胸が締め付けられ、莟玉君の力弥もなかなか。焼香場などもじっくり、時間のかけ方がとても贅沢。仁左衛門さんの由良之助は全く年齢を感じさせず、騒ぐ家臣を叱る時の胆力は本当に凄い。それが凄いからこそ、扇ヶ谷表門での決意と悲しみ、現代人には及ぶべくもない苦悩が心に沁みます。素晴らしい。
最後は清元連中による所作事「道行旅路の花聟(落人)」。
配役
早野勘平:中村隼人(萬屋)
鷺坂伴内:坂東巳之助(大和屋)
腰元おかる:中村七之助(中村屋)
少しぼんやり見てしまいましたが、お美しいお二人、巳之助さんは面白いけど、この感じでいくのでしょうか。勘平にやられて引っ込む時の姿は、刀を鷺の嘴に似せた鷺の姿だとか。しかし、四段目、あんなに「音の出る電子機器は電源を切って下さい」と言われているのに鳴るのは何故なのか。夜の部も非常に楽しみです!
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