
浅草ロック座で「HEROIC 1st season」を拝見しました。
1景「KICK-ASS」藤川菜緒(桜庭うれあ、前田あこ、ダンサー2名)
スーパーマンのテーマから始まる「ヒロイック」、アメコミ原作で映画もヒットした「キック・アス」、サーモントメガネを掛けたイケていない高校生、黒スーツで赤シャツの悪漢たちに絡まれるも、偶然にやっつけてしまう忠実な流れの前半、藤川さんのコミカルな動きと何故かアゴがしゃくれている(ように見える)のが笑える。打って変わって格好良過ぎる後半、グリーンと黒のタイツからグリーンの網タイツ、黄色いテープをまとう衣装の変化。藤川さんのエアリエルリングは初めて拝見で感動。キャラクターになり切る表情と表現力は素晴らしい。1回暗転してからのダイナミックなリングの動き、そして最後に大きく息を吐いてからの暗転は、キャラと本人が重なり強い余韻を残す。
2景「ハリエット・タブマン」桜庭うれあ(矢沢ようこ、永澤ゆきの、ダンサー2名)
アメリカの女性黒人奴隷解放家、2019年公開の映画『ハリエット』のイメージ。黒いハットにドレッドヘア、赤いターバン、黒スーツ、猟銃。ダンサーは「落穂拾い」を思わせる農民風。後半の腰巻きにしたラスタカラーの旗、赤は殉教者の血、黄色は豊かな太陽、緑は豊かな大地、黒は誇り高き黒人を表すという。桜庭さんは布の使い方が秀逸、人を鼓舞させ感動させる力がある。ボブ・デュランの『時代は変る』が完璧な調和。リボンさんの放つリボンも多色なのが気が利いている。
3景「Panty&Stocking」前田あこ(橋下まこ、藤川菜緒、泉田栞)
初めて知りましたが2010年に放映されていた日本のアニメだそう。キャラを忠実に再現、悪役のニーソックス・デイモンの橋下まこさん、鞭を持った姿が似合い過ぎ。後半は天使のような衣装で白い銃を持って。優しいお顔ですが、ポーズが決まっている。
4景「蝿の王」永澤ゆきの(矢沢ようこ、ダンサー4名)
ウィリアム・ゴールディングの小説『蠅の王』、この小説をモチーフに選ぶ発想が素敵。青い綺麗な衣装の永澤ゆきのさんに対し、ダンサーは槍を持った民族風の衣装、得体の知れない顔の見えない黒い衣装の矢沢ようこさんは悪意の塊。理性と本能の対比。槍に刺さった豚の頭ベルゼブブを投げ捨てる行動に意志の強さ。後半の理性と本能が葛藤する力強い表現が素晴らしく、心からの咆哮が聞こえる。可愛らしい印象の永澤さんですが、とても高潔な美しさ。
5景「GACHAMAN」泉田栞(橋下まこ、前田あこ、藤川菜緒、永澤ゆきの)
姿は浮かぶが内容はほぼ知らない科学忍者隊ガッチャマン。大きい羽扇子、レーザービームの使い方が良い。ヘルメットのバイザーが下がってしまった永澤さんが流れで格好良くバイザーを跳ね上げる所作が印象的。ちなみに重要な曲だった『こころはタマゴ』は鳥人戦隊ジェットマンの主題歌だそう。
6景「大谷吉継」矢沢ようこ
豊富秀吉の家臣、舞台に「対い蝶」も旗、上下風の衣装で刀を振り回す激しい合戦の風景。後半は青いラメ入りの長襦袢、酒を飲むように見える仕草は、ハンセン病を患っていたと言われる吉継、茶会で吉継が口をつけた茶碗を、三成だけが飲んでくれたというエピソードによるものでしょうか。
7景「ムーラン」橋下まこ(桜庭うれあ、泉田栞、ダンサー4名)
ダンサーはピンク色の中国風ドレス、橋下まこさんはブルーの王女のようなドレス、手の動きが印象的な華やかな群舞でムーランの名前の由来の木蓮の花をイメージしているよう。上から降りてきた剣を手にしてからは打って変わって力強い。後半は実写映画のようなオレンジ色のドレスに。足を労る所作は中国で行われていた纒足と踊り子にとって大切な足への尊重か。ポーズを決める足指の高さと美しさ、舞台上に戻ってからの一瞬のシルエットは気高い。後半の表現から感じたのは自愛、他人を愛するには、まず自分を愛せよというメッセージ。ヒーローだけでなく誰もが陥る自暴自棄、踊り子の方々はヒーローではなく普通の人間ですが、ヒロイックな存在と言えるのかもしれません。
フィナーレ
背中にマントと「You can fly!」と書かれた黄色いヒロイックTシャツを着て皆笑顔の明るい元気の出る群舞、客席も一緒に踊れる振り付けに一体感。『ワンピース』の名シーンを連想させる振り付けにもグッと来る。最後は「R」のロゴが描かれた幕が上から落ちてくるのも印象的。「HEROIC 2nd season」も見に行ってしまうかもしれません。

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