
国立能楽堂で「5月定例公演」を拝見しました。
配役

狂言『止動方角(しどうほうがく)野村萬斎(和泉流)』
茶比べに行くことになった主人ですが、一つも道具を用意していなかったため、太郎冠者に叔父に道具を借りてくるように命令。主人は主人で我が儘そうで、ふてぶしい太郎冠者に肩入れしたい雰囲気。クセのある馬は着ぐるみに「賢徳(けんとく)」という面にボサボサの付け髪、馬の描写がどんな演劇とも違って面白い。太郎冠者にいいように騙される主、馬と入れ替わる仕掛けもスカッとする。脱走する馬の後ろ姿が愛くるしく、とても楽しい狂言でした。
能『千手 (せんじゅ)郢曲之舞(えいぎょくのまい)上田公威・坂口貴信(観世流)』
久々に平家の武将が出てくるお能ですが、趣向が違う。小書「郢曲之舞」により詞章が省略され、両シテ、二人の関係性が強調されるという。捕虜になり出家も許されず、心中ただならぬ状況の重衡、想像する細っそり雅な重衡より上田公威さんはがっしり少し強面。最初は気が気でない様子ですが、千手の心尽くしにより徐々に心を開いていく重衡、琴と琵琶の合奏場面はグッと来る。南都へ向かう重衡の背中を見つめる千手、最後は深い悲しみが舞台に漂います。本日の面は「相生増」でした。

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