素浄瑠璃の会「源氏烏帽子折、伏見の里の段」紀尾井小ホール

紀尾井小ホールで「素浄瑠璃の会」を拝見しました。

『源氏烏帽子折』伏見の里の段
豊竹靖太夫、鶴澤燕二郎

現在、口伝のみで受け継がれているという稀曲、ただ「一谷嫩軍記~熊谷陣屋」の後半に登場する白毫弥陀六実は弥平兵衛宗清が義経を助けた時のエピソードなので、分かりやすい。暑い夏にぴったりの極寒シーン、「寒風颯々と烈しくて・・・」からの詞章が骨に染み入る冷たい燕二郎さんの三味線の音色が素敵。その後の子供達の母への思いやり、最後は靖太夫も、例えでは無く、泡を吹きながらの熱演、鳥尽くしの詞章もグッと来ました。

『義経千本桜』渡海屋大物浦の段
豊竹呂勢太夫、鶴澤燕三

文楽で「渡海屋大物浦の段」は拝見したことが無いため、歌舞伎の舞台を想像しながら。呂勢太夫さん、燕三さんのコンビが珍しく是非とも拝聴したかった演目。前半やや眠でしたが、典侍局と安徳天皇の入水シーンから完全覚醒、詞章に集中する分、知盛の心情の変化に痺れます。知盛の碇の場面はあっさりですが、文楽だとじっくり演じられるのでしょう。冷製に見えて必死な呂勢太夫さんの語り、知盛の衣装をイメージしたという本公演では派手過ぎて着用できないという金色っぽい肩衣、碇が蒔絵で描かれた見台も素晴らしい、燕三さんの情感と変化に富む鋭い三味線をじっくり拝聴でき、とても幸せな時間でした。チーム馬の骨、応援しております。

コメント

タイトルとURLをコピーしました