国立劇場 小劇場で令和4年9月文楽公演、第三部『奥州安達原』を拝見しました。
配役
まずは読み方が難しい「朱雀堤の段」から、すざく、ではなく、しゅしゃかづつみ、と読むそうです。芳穂太夫さんの声量が大きくて、声質も袖萩に合ってる。重要な段ではないかもしれませんが、何故袖萩が環宮明御殿まで平傔丈直方を追ってきたのかがよくわかる。「敷妙使者の段」「矢の根の段」、桂中納言則氏実は安倍貞任を遣う玉男さんの厳かさ、浜南兵衛実は弟の宗任を遣う玉助さんの荒々しさが素敵。口に咥えた矢の根で肩を傷付け血文字で書いた「我が国の 梅の花とは 見つれども 大宮人は いかが言ふらん」、兄弟の駆け引き、じゃれ合い?屋敷に重要人物が集まる様子が面白い。続いて「袖萩祭文の段」、もうこの段は泣いちゃうのがわかってた。鶴澤清治さんの一撥目からグッときてしまいます。勘十郎さんの遣う袖萩が生過ぎてエグい!もはや気持ち悪い!枝折門にぶつかる様とかも人形なだけに恐怖感が無くリアル、三味線で唄を唄う場面は、清治さん、呂勢太夫さんとの息もぴったりで、もう袖萩から後光が射しているよう。凄い。袖萩の思い、平傔丈直方、その妻浜夕の遣る瀬無い言動が渦を巻く、結局皆んな優しいのが良い。親子が同時に自害する「貞任物語の段」、後半なると急に袖萩とお雪の扱いが雑!ぽいって感じ、ちょっと酷い!やっぱこの時代、女子供はそういう扱いなのか。そして、安倍兄弟と義家の掛け合いに。玉男貞任の迫力が凄いし、母が死んだばかりなのに、お雪の鋭角的な切り替えもなかなか。文楽だと浜夕の動きがかなり重要、それだけに吉田勘弥さんの休演は残念でした。
最後は「道行千里の岩田帯」で賑やかに閉幕、この後2人はとんでもないことになるらしいですが、いつかこの後も見てみたいです。12月の「本朝廿四孝」も楽しみにしております!
コメント