
文京シビックホールで「令和7年2月文楽公演 通し狂言『妹背山婦女庭訓』第三部」を拝見しました。
配役

丸に子の前掛けが可愛い子太郎がお茶目な「杉酒屋の段」から、やはり桐竹勘十郎さんの遣うお三輪の動きが生々し過ぎて気味の悪いほど。そして、大喧嘩するお三輪と橘姫を望観する求海の思惑を考えると気の毒というより怖い。「道行恋苧環」は贅沢な配役、急に一緒に踊り出すのに長閑さを感じる。「鱶七上使の段」は鱶七の豪胆さを表現するのは歌舞伎より文楽の方が上手で楽しい。姫を利用しようとする求馬の好感度がまた下がる「姫戻りの段」、「金殿の段」の官女たちの虐め部分は歌舞伎よりも陰険さが無い感じ、純粋なお三輪が本人とは関係の無い忠義のために殺されてしまうのはやり切れなく、純愛経験が無いためか、全く共感はできません。床上の高低差が凄い織太夫さん、燕三さん、情感豊かで素晴らしい。最後まで大暴れの鱶七の存在感が凄かった。しかし今月の文楽は客席の雰囲気に恵まれず。大きな声で愚にもつかないことを話す方、やたら拍手をする方など100%集中できなかったのが残念でしたが、5月の文楽公演も楽しみにしております。
コメント