国立劇場 小劇場で令和4年5月文楽公演、第一部『義経千本桜』を拝見しました。人間国宝の豊竹咲太夫さんの休演は残念ですが、織太夫さんの語りも大好きなので問題なし。
配役
全五段の『義経千本桜』から狐忠信の部分を抜粋、まずは 二段目口にあたる「伏見稲荷の段」から。追いついた静御前を梅の木に縛り付けるのは酷いが、戻ってきたらかOKなのか。桐竹勘十郎さんの狐の演技はやっぱりお見事、美しい〜。
「道行初音旅」はとても華やか、所作が可愛らしい雁と燕の舞、その後は少し緊張感も感じる屋島の戦の舞で、錣引きからの忠信兄の継信の最期、静御前が忠信に向かって矢に見立てた扇を頭越しに後ろへ投げる「山越え」も大成功。道行でけっこう疲れてるのではと心配しましたが、静御前も余裕なんですね。時折見せる狐の動きがチャーミングです。
最後の「河連法眼館の段」は四段目、呂勢太夫さんと錦糸さんコンビの中はじっくり丁寧に、狐忠信が登場する切は咲太夫さんと燕三さんのコンビ、忠信の狐っぽい喋り方が特徴的で、キツネの「ツ」の言い方とか滅茶苦茶難しそう。忠信は400年ほど生きており、妻子もいるものの、時折見せる子供っぽい仕草が良い。縁の下から客席に足を向けて伸び上がる場面とか、この角度で人形を見る機会がないので面白く、仰向けでバタバタするのは駄々っ子にしか見えないな。
やっぱり主役は勘十郎さんで、狐から忠信への変化、衣装の早変わり、最後の宙乗りも見ていて泣きそうになった。素晴らしいだけに切は咲太夫さんの語りで拝見したかったな〜。とはいえ文楽らしいメルヘンに溢れた素敵な舞台でした。来週の第二部も楽しみです!
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