
東京芸術劇場プレイハウスで「令和7年12月文楽鑑賞教室 Aプロ」を拝見しました。
配役

軽やかな『万才』と文楽の解説の後は『国性爺合戦』、文楽鑑賞教室にては骨太な演目です。『楼門の段』、織太夫さんは情感豊かだが、今回は何故か台詞が非常に聞き取りにくい。『甘輝館の段』『紅流しより獅子が城の段』に進むにしたがって徐々に盛り上がる。睦太夫さんのお声は凛々しく聞き取りやすくて素敵。老一官妻のたった1人で城に乗り込む度胸、歯で大の男を食い止め、体を投げ出し錦祥女を庇う強さと愛情、命をかけて事態を収拾させる錦祥女の勇気と比べたら豪華に着飾った男たちに虚しさを感じずにはいられません。一輔さんの遣う錦祥女の美しさと健気さに涙腺が緩む。現代ではなかなか受け入れ難い内容ですが、人が簡単に死ぬからこそ命の重みを、女性たちが犠牲になるからこそ、その強さが身に沁みます。東京の文楽は夏がお休みでしたので、古典文楽は久しぶりでしたが、今年最後にとても良い舞台でした。

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