歌舞伎座で「十二月大歌舞伎 第三部」を拝見しました。
『与話情浮名横櫛 源氏店』
お富：坂東玉三郎（大和屋）
与三郎：市川染五郎（高麗屋）
蝙蝠の安五郎：松本幸蔵（高麗屋）
番頭藤八：片岡市蔵（松島屋）
和泉屋多左衛門：河原崎権十郎（山崎屋）
染五郎さんの与三郎は初役、与三郎、蝙蝠の安のコンビが初々しい。今までの苦労を感じさせず、擦れてない与三郎は初めて見た。玉三郎さんはもちろん、市蔵さん、権十郎さん、それに合わせるベテラン勢とのバランスがとても良い。当然、上手ではありませんが、伸びが楽しみ。千秋楽にもう一度拝見できるのが嬉しい。
『火の鳥』
火の鳥：坂東玉三郎（大和屋）
ヤマヒコ：市川染五郎（高麗屋）
ウミヒコ：尾上左近（音羽屋）
侍女：市川笑也（澤瀉屋）
侍女：市川笑三郎（澤瀉屋）
イワガネ：坂東新悟（大和屋）
重臣：中村亀鶴（八幡屋）
大王：市川中車（澤瀉屋）
前回から、かなりアップデートされていて俄然面白くなっている。兄弟の生着替えなど舞台転換もスムーズで、気持ちが途切れない。前回非常に違和感のあったVRな道行、今回は3階席から見ても映像と兄弟の動きが調和しており楽しめる。イワガネの役割もある程度理解できるようになっているのも良かったが、新悟さんの上達ぶりに感動。侍女たちも前回からの中村芝のぶさんに笑也さん、笑三郎さんが加わり華やぎがかなり増す。侍女たちをまとめる冷静な笑也さんの存在感が素敵。今回兄弟もギスギスしておらずあっさり、こってりした役者ばかりの中、左近さんの清涼感が抜群でした。終盤は玉三郎さんの一人舞台、永遠の講義は前回同様ピンと来ず。あんなに変な格好なのに説得力のある火の鳥は凄い。人外の粋に完全に達している。やはり永遠なのはあなたです、と思わずにはいられませんでした。
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