芸術祭十月大歌舞伎 第一部『鬼揃紅葉狩』『荒川十太夫』歌舞伎座

芸術祭十月大歌舞伎 第一部『鬼揃紅葉狩』『荒川十太夫』
歌舞伎座で「芸術祭十月大歌舞伎 第一部」千穐楽を拝見しました。一本目は、令和4年度(第77回)文化庁芸術祭参加公演、三代猿之助四十八撰の内『鬼揃紅葉狩(おにぞろいもみじがり)』です。

配役
更科の前実は戸隠山の鬼女:市川猿之助(澤瀉屋)
平維茂:松本幸四郎(高麗屋)
局かえで実は鬼女:市川門之助(滝野屋)
侍女ぬるで実は鬼女:中村種之助(播磨屋)
侍女かつら実は鬼女:市川男寅(滝野屋)
侍女もみじ実は鬼女:中村鷹之資(澤瀉屋)
侍女いちょう実は鬼女:中村玉太郎(加賀屋)
侍女にしきぎ実は鬼女:尾上左近(音羽屋)
男山八幡の末社百秋女:市川笑三郎(澤瀉屋)
男山八幡の末社千秋女:市川笑也(澤瀉屋)
従者碓氷三郎:市川青虎(澤瀉屋)
従者小諸次郎:市川猿弥(澤瀉屋)
神女八百媛:中村雀右衛門(加賀屋)

途中の猿之助さんの独断場、信州の春夏秋冬を表現した舞が凄い、得意の顔芸でしっかり笑いもいれつつ、身体能力高いな〜。その後の神女と従者2人の踊りが、大ピンチな状況に似合わず、とっても呑気な感じなのが好き、平維茂たちが全然起きないのは、それだけ鬼女の呪い?が深いということか。幸四郎さんも今回も笑い所はなく、真面目に凛々しく、芸の幅が広さが凄い。小袖を被って登場する鬼女軍団、ちらっと見える後ろ髪が尻尾に見えて怖い。沢鷹屋の所作事は派手な演出で飽きさせず、伝統的な演目は安定的にレベルが高くて面白い。

二本目は、神田松鯉師匠の口演を元にした新作歌舞伎、赤穂義士外伝の内『荒川十太夫(あらかわじゅうだゆう)』、こちらが思いの外、素晴らしかった!

配役
荒川十太夫:尾上松緑(音羽屋)
松平隠岐守定直:坂東亀蔵(音羽屋)
大石主税:尾上左近(音羽屋)
杉田五左衛門:中村吉之丞(播磨屋)
泉岳寺和尚長恩:市川猿弥(澤瀉屋)
堀部安兵衛:市川猿之助(澤瀉屋)

幕開け、いきなり堀部安兵衛の切腹から、切腹完了の声がちょっと呑気で笑いが漏れる状況に、物語の内容を知らないとびっくりするかも。松緑さんの演技は今までピンと来ることがなかたったのですが、今回、良い、凄く良い。前半はやや冗長かなと思ったのですが、松平定直直々の詮議の場面からが凄く良い!亀蔵さんの素敵なお声、風格も寛容さもしっかりあって素晴らしく、スッポン、花道を使っての十太夫の回想の演習も上手い。左近君の大石主税(幼名は松之丞なのか)もぴったりの配役、猿之助さんの抑えた演技も抜群で、全く予期していなかったのですが、思い切り泣いてしまった。。。松緑さんに泣かされるのは悔しいが、泣けた。先月、歌舞伎座で先月開催された「神田松鯉・神田伯山 歌舞伎座特撰講談会」で講談版を拝聴しているため、さらに舞台の奥行きが増す。舞台を拝見していると、松鯉師匠の優しいお声が、十太夫の背中をそっと支えるように、重なって聞こえてくるよう。松平定直の天晴れなお裁きの後、廻り舞台で泉岳寺前の茶屋で秋を表現、そのまま墓前に移り、初春を迎える演出も素敵。身なりも立派になり、墓参りにやって来た十太夫、和尚長恩に声を掛けられ、一礼し、花道から去っていく十太夫、終始無言、凄く良い!最後は猿弥さんならではの温かい空気感、「騙されて 心地よく咲く 室の梅」の句でしっかり締めました。新作らしからぬ完成度、別キャストでの再演熱望(講談とセットにしても面白いかも)!本当に素晴らしい舞台でした。
芸術祭十月大歌舞伎 第一部『鬼揃紅葉狩』『荒川十太夫』

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