十二月大歌舞伎 第四部『日本振袖始 大蛇退治』歌舞伎座

十二月大歌舞伎 第四部『日本振袖始 大蛇退治』歌舞伎座
今年最後の歌舞伎鑑賞は十二月大歌舞伎 第四部『日本振袖始 大蛇退治』、大変に美しくダイナミックな舞台に大興奮でした!

配役
岩長姫実は八岐大蛇:坂東玉三郎(大和屋)
稲田姫:中村梅枝(萬屋)
素盞嗚尊:尾上菊之助(音羽屋)

『日本振袖始』は近松門左衛門作の中で唯一の日本神話に由来する物語。まずは始まりが良い、定式幕が奥に引かれ村人4人が登場、事の次第を語ります。両脇の壁に描かれた木の絵が既に大蛇のようにも見え不気味。緊張感があって良い。そして義太夫とお囃子が抜群に良い!!小鼓も田中傳左衛門さんだし、流石は玉三郎さんです。大勢の村人と共に人身御供の稲田姫が登場。端正なお顔立ちでお美しい梅枝君、生贄置き場みたいな所に置いていかれ気絶。スッポンから稲田姫と因縁深い岩長姫登場、う〜ん、梅枝君とはまた別種の美しさ。お顔や衣装は美しいですが、中身は人ではなく、時折見せる邪な表情にゾクゾクいたします。稲田姫を食べようとするも、酒(毒酒)の香りに釣られてがぶ飲み。美しいだけではない舞に、この世のものでない感もたっぷり。体の一部に見える扇の使い方に見惚れます。酔うほどに本性が現れ、妖艶さが増す。途中で胡弓の演奏が入るのは、大蛇の間で揺れざるをえない姫の悲しみを増長させます。囃子のリズムも変則的で超絶格好良いな〜。興奮しちゃう。腕を蛇に、赤い振袖を蛇の舌のように、稲田姫を食べる時の口のように見立てた衣装の使い方も面白い。

大薩摩の迫力のある演奏の後、花道から素盞嗚尊が颯爽と登場。お能のような衣装がグッド。凛々しい眉に踏み込み方も非常に力強く、立ち合いもキレがあり、猛々しさも十二分。そんな中にも繊細さや気品もたっぷり感じられるのが素晴らしい。その後の楽器、囃子のリズム感、八岐大蛇の衣装などもお能の要素が沢山含まれています。八つ頭は玉三郎親分以下8人で表現(ヘビザイル?)、親分の隈取りが抜群に禍々しい。8人で八岐大蛇を演じるのですが、表現が何パターンもあり見応えあります。個人的には一番始めの薄い衣装を使った表現が1匹の大きな蛇っぽくて見事だし、最後の八岐大蛇的海老反りも迫力満点。稲田姫が救出されてからの羽々斬(はばきり)と十握剣(とつかのつるぎ)の二刀流も格好良い。玉三郎さんは台詞はほとんどありませんでしたが、別に喋らなくったっていい。最後は3人(+7)で決まって華やかな幕切れ。

7日まで代役を勤めた菊之助さんの八岐大蛇も見たかったけど、玉三郎さんで良かった。いや〜、最後の最後で素晴らしい舞台を拝見できて嬉しい限りです。来年の歌舞伎初は「壽 初春大歌舞伎」第一部から。来年も楽しみにしています!

コメント

  1. […] 観賞 一.文楽「令和2年12月文楽公演 第二部『桂川連理柵』」国立劇場 小劇場 二.歌舞伎「十二月大歌舞伎 第一部『四変化 弥生の花浅草祭』」歌舞伎座 三.能楽「第14回日経能楽鑑賞会 狂言『悪太郎』/能『綾鼓』」国立能楽堂 四.能楽「12月普及公演 狂言『猿聟』/能『舎利』」国立能楽堂 五.文楽「令和2年12月文楽公演 第一部『仮名手本忠臣蔵』」国立劇場 小劇場 六.歌舞伎「令和2年12月歌舞伎公演 第一部『三人吉三巴白浪』」国立劇場 大劇場 七.歌舞伎「十二月大歌舞伎 第三部『傾城反魂香 土佐将監閑居の場』」歌舞伎座 八.歌舞伎「十二月大歌舞伎 第四部『日本振袖始 大蛇退治』」歌舞伎座 […]

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