新春浅草歌舞伎 第二部『熊谷陣屋』『流星』『魚屋宗五郎』浅草公会堂

新春浅草歌舞伎 第二部『熊谷陣屋』『流星』『魚屋宗五郎』浅草公会堂
浅草公会堂で「新春浅草歌舞伎 第二部」を拝見しました。まずは今年で浅草最後の種之助君の最後の最後の真面目な挨拶から、1本目は『一谷嫩軍記 熊谷陣屋』です。

配役
熊谷直実:中村歌昇(播磨屋)
相模:坂東新悟(大和屋)
藤の方:中村莟玉(高砂屋)
梶原平次景高:中村吉之丞(播磨屋)
堤軍次:中村橋之助(成駒屋)
源義経:坂東巳之助(大和屋)
白毫弥陀六:中村歌六(播磨屋)

この演目を見ていて辛いのは、何も知らず息子を殺されていた相模。丸くて福々しく見えてしまう藤の方に対し、終始悲壮感が出ている相模が良い。今時らしくメロディアスな泣きの直実、今後の成長も楽しみ。そして若い物に負けるか!という気持ちがあるかは知りませんが、一番気迫のこもった演技をしているように見える歌六さんが格好良い。

続いては短い清元による所作事『流星(りゅうせい)』は1859年初演、当初は「夜這星(よばいぼし)」と呼んでいましたが、風紀を害するということで五世延寿太夫が「流星(りゅうせい)」に変更したという。

配役
流星:中村種之助(播磨屋)

雷様の父、母、子供、姑の4人を1人で演じ分け、子供と婆が体系的にしっくり来ますが、お見事。右側の角が下に折れた婆の面が素敵。しかし雷の音と「ころり(コレラ)」が掛かっているとは気付きませんでした。種之助君の醸す空気感、三枚目や道化など愛嬌のあるお役は素晴らしいですね。

3本目は『新皿屋舗月雨暈 魚屋宗五郎』です。

配役
魚屋宗五郎:尾上松也(音羽屋)
女房おはま:坂東新悟(大和屋)
小奴三吉:中村種之助(播磨屋)
磯部主計之助:中村隼人 (萬屋)
菊茶屋娘おしげ:中村莟玉(高砂屋)
菊茶屋女房おみつ:中村歌女之丞(成駒屋)
父太兵衛:市村橘太郎(橘屋)
鳶吉五郎:中村橋之助(成駒屋)
召使おなぎ:中村米吉(播磨屋)
岩上典蔵:坂東巳之助(大和屋)
浦戸十左衛門:中村歌昇(播磨屋)

松也さんの声が裏返るのが気になりますが、流石にコミカルな演技が上手いが、実は女房役の新悟君が巧過ぎるし、種之助君の三吉も愛嬌たっぷり。そして米吉おなぎの可愛さに癒されます。莟玉君は「熊谷陣屋」では丸く見えたのに、ここではスッとした印象。着ている衣装のせいか。花形役者勢揃いで抜群のチームワークが感じられる、良い「魚屋宗五郎」でした。ガラッと出演俳優が変わる来年の「新春浅草歌舞伎」も楽しみにしております。

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