浅草新春歌舞伎 第2部『絵本太功記 尼ヶ崎閑居の場』『仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場』浅草公会堂

浅草新春歌舞伎 第2部 浅草公会堂
毎年恒例の「浅草新春歌舞伎 第2部」を拝見しました。昨年はお休みでしたので2年ぶり。会場の外に飾られていた歌舞伎役者直筆の羽子板のオークションも面白い(特別惹かれるものがなかったので入札しませんでしたが)。そういえば上野駅で見た白黒のお洒落なポスター、若手の中の中村錦之助さんが素敵過ぎて笑えた(髪型もいつもと全然違う)。

最初に尾上松也君のお年玉(年始ご挨拶)から。幕が後ろに下がり赤い毛氈が現れるも誰もいない。意表を付いて花道から登場。今回は花道からの出が無いので、出てみたかったそう。男前です。今日は3階席の一番前。歌舞伎座より近いのは良いですが、前の手すりの位置が高くて見にくい。前に乗り出せばよいのだけれど、後ろの方に影響するといけないので、背中は椅子の背もたれに。次回は後ろの席にしてみようと思います。

一本目は『絵本太功記 尼ヶ崎閑居の場』から。松也君の説明にもありましたが全十三段の「太功記」の「十段目」、略して通称『太十』(たいじゅう)と呼ばれる名場面です。

配役
武智光秀:中村歌昇(播磨屋)
武智十次郎:中村隼人(萬屋)
初菊:中村米吉(播磨屋)
皐月:中村梅花(京扇屋)
佐藤正清:中村橋之助(成駒屋)
操:坂東新悟(大和屋)
真柴久吉:中村錦之助(萬屋)

武智十次郎役の中村隼人君から。ちょっと頼りなさ気ですが、清潔感たっぷりの優しい若武者ぶりがよく出ています。裃は紫の肩衣に赤い小袖、線が細いためか、和服に着られている感じがするのも、まぁ悪くはない感じ。許嫁初菊役は米吉君、赤い着物が可憐で絵になる2人。風の谷のナウシカの王蟲の体液で染まった青い服ではないが、己の鼻血で染まった赤い服という気持ちのよろしくない想像をしてしまっても仕方がないのではないでしょうか!しかし初菊はよく泣きますが、他の皆も然り、泣きの多いお話です。十次郎の重たい兜を袂に乗せて引きずる初菊の姿はとてもいじらしく、思わず拍手。しかし兜の重さを調べてみると大体3kg、それが持てないとなるとちょっと非力すぎやしないかと思えますが、初菊が感じているのは単純な兜の重さだけではない。不自然でないのが歌舞伎のイリュージョン。この時代設定にして初菊の愚鈍とも思える純粋さは崇高。悲しさ隠す笑い顔が切なく、三々九度の杯をそっと胸に納める仕草なんかも殊勝です。この段の武智光秀は非常に難しいお役。中央にどかっと座り続け、台詞のない演技をし続ければなりません。少し間違うとただの下衆野郎に。歌昇君持ちこたえてました。ベテランの錦之助さんが登場すると場が引き締まります。台詞は少なかったですが、凛とした気品のある操役の新悟君も良かったなあ。途中竹槍の場面の後、光秀と皐月の場面は少し眠くなりましたが、後半はヒリヒリする緊張感を楽しめました。

続いても定番の古典『仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場』、全十一段という長い演目の七段目です。

配役
大星由良之助:尾上松也(音羽屋)
寺岡平右衛門:坂東巳之助(大和屋)
お軽:中村米吉(播磨屋)
大星力弥:中村橋之助(成駒屋)
矢間重太郎:中村吉之丞(播磨屋)
富森助右衛門:中村隼人(萬屋)
赤垣源蔵:中村歌昇(播磨屋)
斧九太夫:大谷桂三(十字屋)

大星由良之助は紫の着物、この色を着こなす難しさを感じます。先ほどの光秀に続きかなりの難役。二題目も米吉君大活躍。お軽は藤色の着物で、先ほどの初菊より少し年上でしょうか、色々あり遊郭で努めてきた経験も加わります。ちゃんと演じ分けもできていて安心。これからどんどん出てくるであろう艶と色気に期待。梯子を恐々降りる場面も素敵。その後の「嘘から出た誠でのうて、誠から出た、みんな嘘々」は核心を付いており、とても良い台詞。そして一番の見所はお軽と兄平右衛門2人の場面。こんなに長かったっけか。楽しかったからいいけど。全てを知り、さらに由良之助の意図まで知ってしまった兄と、何もしらない無垢なお軽のちぐはぐなやりとりは軽い笑いと重たい悲しみのごちゃ混ぜ。巳之助君も気合十分。お軽の父と夫の早野勘平がどうなったかを知らないとよく理解できない場面、お軽はその名前と裏腹に不思議な重みのあるお役ですね。「祇園一力茶屋の場」は緩急の付け方も非常にうまく、見せ場も多く、とても良くできたお話、人気があるのも納得です。米吉君の可愛さもあり、退屈することなく見ることができました。これが「贔屓」というやつか。1つ言わせていただくと、着物の着方なのか、背中やお尻のラインとか形が洗練されるともっと素敵かも。しかしながら米吉サポーターには大変嬉しい第2部、心より堪能させていただきました。白飯、日本酒、やっぱりお米が大好物です!

出演者が皆若いって、それだけで良いです。ピチピチでお化粧ものりのりで美しい。こんなことを思うなんて、私も良い年。大人になったと前向きに捉えよう。5年後、10年後が楽しみです!

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