二月大歌舞伎 第三部『奥州安達原 袖萩祭文』『連獅子』歌舞伎座


二月大歌舞伎 第三部を拝見しました。勘九郎さん!めちゃくちゃ頑張ってました!素晴らしい!!

まずは十七世中村勘三郎三十三回忌追善狂言『奥州安達原 袖萩祭文』から。文楽でいつぞや見た記憶があったのですが、2017年1月、大阪日本橋(にっぽんばし)の国立文楽劇場「第145回文楽公演」でした。東京の日本橋(にほんばし)と間違えて、チケットを取ってしまった思い出深い公演です。

配役
袖萩:中村七之助(中村屋)
安倍貞任:中村勘九郎(中村屋)
娘お君:中村長三郎(中村屋)
義家の郎党:中村種之助(播磨屋)
義家の郎党:中村玉太郎(加賀屋)
義家の郎党:中村歌之助(成駒屋)
義家の郎党:中村莟玉(高砂屋)
安倍宗任:中村芝翫(成駒屋)
平傔仗直方:中村歌六(播磨屋)
浜夕:中村東蔵(加賀屋)
八幡太郎義家:中村梅玉(高砂屋)

ここに至るまでの内容が全くわからないので復習、まず袖萩の父の平傔仗が切腹する理由ですが、傔仗は皇弟である環宮の守役だったのに、貞任達にを誘拐されてしまった責任から。突然登場した宗任(貞任の弟)が何故縛られたこの場所にいるかというのは二段目「善知鳥文治 住家の段」まで遡る。義家が祈りを込めて放った黄金の札が着いた鶴を殺した罪(本当は別の人が殺したのだが)で、義家に近づくために、わざと捕まったという訳。さらにこれまた、突然登場した公家風の男は、桂中納言則氏実は安倍貞任で、傔仗の切腹を見届けにきたという理由でやってきたのですが、実は袖萩が傔仗に渡した手紙(筆跡から貞任が誘拐犯だと判明する)を奪い返すため。ということですが、色々と訳が分からなくても楽しめるのが歌舞伎です。

見所の袖萩が祭文を三味線で弾き語る場面は、太夫との掛け合いが面白い。癪により気絶した袖萩に、お君が雪を持って行って飲ませ、さらに自分の着物を脱いで掛ける下りは健気。七之助さんの激情的な演技は、かなり現代的な気がいたしましたが、時代に合わせて演技はだんだんと変わっていくものなのかもしれません。そして全く勘違いしていたのが長三郎君は七之助さんの息子かと思っていたら、勘九郎さんの息子なのか。七之助さんは未婚だ。3人の演技を思い出し妙に納得。袖萩は最後、死ななくてもよかったのにと同情。お君が無事、浜夕に育てられることを願います。傔仗の切腹後、後半はがらっと流れが変わって、歌舞伎らしい豪快さ、勘九郎さんって、東洲斎写楽の一番有名な浮世絵「三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛」の、あのイメージにぴったり。15歳年上の芝翫さんが、弟役を演じているのも歌舞伎らしくて素敵、中村屋兄弟で夫婦役はもはや定番化。貞任は2人いた子供のうち、男の子はすでに病死、残ったお君が本当は可愛くて仕方無いのだろう。武士としては珍しい子煩悩っぷり。義家役の梅玉さんはやはり場が引き締まる、四天王?役も皆様、水の垂れる男っぷりで目の保養、台詞も無いのに超贅沢な配役です。源氏の白旗に血文字で書かれた「わが国の 梅の花とは 見つれども 大宮人は いかがいふらむ」は宗任の句、最後は形が決まって華やかな幕切れです。刀の使い方などなどキレの良い動きで魅せた勘九郎さん、今まで拝見した舞台の中で一番良かったです!

続いては勘九郎親子による十七世中村勘三郎三十三回忌追善狂言『連獅子』です。

配役
狂言師右近後に親獅子の精:中村勘九郎(中村屋)
狂言師左近後に仔獅子の精:中村勘太郎(中村屋)
法華の僧蓮念:中村鶴松(中村屋)
浄土の僧遍念:中村萬太郎(萬屋)

特に毛振りに関しては印象無しですが、勘太郎君は9歳、小4?、自分の小4時代を思えば凄いな〜。あんまり無理して首を痛めないでね。途中の宗論は、若い方が演じると楽しさは半減するか。歌舞伎に関しては役者の歴史や背景を知っている方が、その役者を好きであればあるほど、ずっと面白いということを最近ひしひしと感じております。アイドルのコンサートに行くようにドキドキしながら楽しめるのが理想ではなかろうか。連獅子なんか正に。そんなことを思いながら、「三月大歌舞伎」も楽しみにしています!

コメント

タイトルとURLをコピーしました