壽 初春大歌舞伎 昼の部『寿曽我対面』『陰陽師』『封印切』歌舞伎座

歌舞伎座で「壽 初春大歌舞伎 昼の部」を拝見しました。1本目はお正月らしい演目『寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)』です。

配役
曽我五郎時致:坂東巳之助(大和屋)
曽我十郎祐成:中村米吉(播磨屋)
大磯の虎:坂東新悟(大和屋)
小林朝比奈:尾上右近(音羽屋)
化粧坂少将:澤村宗之助(紀伊国屋)
八幡三郎:澤村精四郎(紀伊国屋)
近江小藤太:中村吉之丞(播磨屋)
梶原平次景高:大谷廣太郎(明石屋)
梶原平三景時:松本錦吾(高麗屋)
鬼王新左衛門:市川中車(澤瀉屋)
工藤左衛門祐経:中村芝翫(成駒屋)

お正月らしい演目ですが、令和の世界では特にお正月らしさも感じられない。米吉さんが曽我十郎初役ですが綺麗ではありますが、特に印象には残らず。朝、偶然にも坂東三津五郎さんが出演している森田芳光監督の映画『阿修羅のごとく』を見ていたため、少々感慨深いですが、五郎が、最後の「兄者人」を「母者人」と盛大に間違えたのに驚く。

2本目は夢枕獏原作の新作歌舞伎『陰陽師』。2幕に分かれており、まずは「大百足退治」から。

配役
藤原秀郷:尾上松緑(音羽屋)
大蜈蚣の魂魄:坂東亀蔵(音羽屋)
永薙姫:中村魁春(加賀屋)

俵藤太の百足退治と言えば2023年4月の『新・陰陽師』が記憶に新しい。大薩摩の気合いに入った演奏から浅葱幕が落とされます。大百足の皆様、少し気持ち悪いですが、少し可愛い。永薙姫から米が出続ける俵をもらったことから、俵藤太に改名したのか。青龍の宝剣は次の「鉄輪」に生かされるのかと思いきや関係ありませんでした。

続いてはお能やロック座でもお馴染みの「鉄輪」です。

配役
安倍晴明:松本幸四郎(高麗屋)
源博雅:中村勘九郎(中村屋)
徳子姫:中村壱太郎(成駒屋)
呑天:大谷廣太郎(明石屋)
蜜夜:市川笑也(澤瀉屋)
蜜魚:澤村宗之助(紀伊国屋)
海老:澤村精四郎(紀伊国屋)
青牙:市川青虎(澤瀉屋)
暗妃:市川笑三郎(澤瀉屋)
赤鬼:市川猿弥(澤瀉屋)
藤原兼家:市川門之助(瀧乃屋)
蜜虫:市川高麗蔵(高麗屋)
蘆屋道満:松本白鸚(高麗屋)

先月の『天守物語』と同じく緞帳の月が浮かび上がる演出から。最初の能『鉄輪』からアレンジした琵琶奏者の長須与佳さんの唄が迫力あります。最近、野村萬斎主演の映画『陰陽師』を見ていたため、理解しやすい物語の内容はシンプルですが、途中で登場する松本白鸚さん、妙な詞章の長唄と竹本の掛け合いによる妖怪?たちの舞踏が愉快です。

3本目は『恋飛脚大和往来 玩辞楼十二曲の内 封印切(ふういんきり)』です。

配役
亀屋忠兵衛:中村扇雀(成駒屋)
丹波屋八右衛門:中村鴈治郎(成駒屋)
傾城梅川:片岡孝太郎(松島屋)
肝入由兵衛:中村寿治郎(成駒家)
阿波の大尽:大谷桂三(十字屋)
槌屋治右衛門:中村東蔵(加賀屋)
井筒屋おえん:中村魁春(加賀屋)

上方の俳優たちが醸す雰囲気が新鮮で意外な楽しさ。初めて聞いた「玩辞楼十二曲」は初代中村鴈治郎が撰んだ「河庄」「廓文章」「引窓」など成駒屋のお家芸のことだそう。身のこなしが美しい孝太郎さんの梅川に、忠兵衛は、最初の緩い感じから、後半の八右衛門との対決、封印切へと激動が凄い。長い口喧嘩はこれぞ上方の芸と惚れ惚れ。暗い予感しかないなかで、何度も引き止めて笑いを誘う魁春さんの自然な軽妙さも素晴らしい。





















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