落語でもお馴染みの「らくだ」、歌舞伎座、2008年「八月納涼大歌舞伎」で上演されたもので歌舞伎での正式名は「眠駱駝物語(ネムルガラクダモノガタリ)」。2017年「十二月大歌舞伎」で拝見した中車さん、愛之助さんの「らくだ」は拝見しましたが、内容も随分違う気がいたします。こちらの方が原作に近いかも。
配役
紙屑買久六:中村勘三郎
家主女房おいく:坂東彌十郎
駱駝の馬太郎:片岡亀蔵
半次妹おやす:尾上松也
家主左兵衛:片岡市蔵
糊売り婆おぎん:中村小山三
手斧目半次:坂東三津五郎
「駱駝住居の場」から、黄色くなった駱駝が寝かされています、駱駝(屍体)役の亀蔵さんは鉄板ですね。半次と糊売り婆おぎんの絡みから。初めて拝見しましたが、おぎん役の中村小山三さんが、ちょい役ですが、滅茶苦茶良い!この雰囲気の歌舞伎俳優さんは今ではいないのでは。次いで勘三郎さん登場、出てきただけで空気が変わるのが凄い。化け物ですね。顔の表情も素晴らしいし、笑わせる(楽しんでもらう)ために、ちょっとしたチャンスも見逃さないサービス精神には感銘を受けます。
続いて、駱駝が「かんかんのう」を踊る一番の見所「家主佐兵衛内の場」、久々に笑い過ぎて泣いちゃった!家主女房役の彌十郎さんもズルいぞ。メイクと体格だけで笑える。こんなババァいるかよ!踊りの名手だけあり?三津五郎さんが操る駱駝の舞もお見事、家元ギャグも笑える。怖すぎて土間に転落する彌十郎さん、上から降ってくるババァに爆笑する勘三郎さん(怖過ぎると笑っちゃうらしい)、客席も大爆笑!滅茶苦茶な事をやってんですけど、皆様知的で気品があり、芸人には出来ない、洗練された至高のコントです。
最後は「元の駱駝内の場」、落語同様見所は酒が入るにつれて逆転する久六と半次の立場。初っ端から酒好きの空気を溢れ出させているのが良い。勘三郎さん、三津五郎さん2人の酒のやり取りだけで2時間くらいは持ちそうなほど見ていて楽しいし、息もぴったり。最後は久六が半次に命令して八百屋に漬物樽を取りに活かせるところで幕。駱駝が勝手に動き出し、さらに半次と駱駝も逆転するという落ちもグッド、予想を遥かに上回る楽しく笑える幸せな「らくだ」でした!
10分の幕間を挟んで続いては「連獅子」です。山田洋次監督、2007年10月に新橋演舞場で上演されたもの。
配役
狂言師後に親獅子の精:中村勘三郎
狂言師後に仔獅子の精:中村勘九郎
狂言師後に仔獅子の精:中村七之助
僧蓮念:片岡亀蔵
僧遍念:坂東彌十郎
実際の親子3人の舞台という歌舞伎ならではの楽しさがあります。親獅子と2匹の子獅子、狂言師の舞踏が素敵。途中の「宗論」はいつも眠くなりますが。最後の毛振りは3人で窮屈なためか、極シンプル。毛振りの際の顔ドアップは映像は面白かったですが、個人的には連獅子は勇ましさよりコンビネーションの妙かと思っているので、あまり好きでないかも。私には、まだ子役からの成長とか、血の繋がりを愛でる楽しみ方はできません。
それにしても「らくだ」が面白過ぎた。勘三郎さん三津五郎さんのコンビ最高です!!
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