
5年ぶりに「日経能楽鑑賞会」にお伺いしました。まずは狂言『磁石(和泉流)』から。
配役
シテ(すっぱ):野村万蔵
アド(田舎者):野村万之丞
小アド(宿屋):野村萬
後見:野村拳之介
野村萬さんの体調のためか、万蔵さんと配役変更。1年前に拝見しているので、記憶も新しい。配役変更、新しいが故に眠気に襲われました。
続いては今年生誕1200年という在原業平に関わる能『杜若(金剛流)増減拍子、日蔭之糸』、小津安二郎監督の『晩春』にも少しだけ登場するということもあり、見てみたかった演目です。小書「増減拍子」で足拍子や演出が変わり、「日蔭之糸」により、初冠に心葉(宮中行事で冠に飾りで付ける造花)、左右に長く垂れた日陰の糸(神事の際に、冠の笄の左右に結んで垂らした組糸)を付けるそう。
配役
シテ(杜若の精):金剛永謹
ワキ(旅の僧):宝生欣哉
笛:一噌隆之
小鼓:曽和正博
大鼓:山本哲也
太鼓:小寺真佐人
後見:廣田幸稔、豊嶋幸洋
地謡:中嶋謙昌、坂本立津朗、元吉正巳、廣田泰能、宇髙竜成、金剛龍謹、宇髙徳成、豊嶋晃嗣
『伊勢物語』は好きなので、その中の和歌が沢山出てくるのは嬉しくて内容は切ない。主役は杜若の精ですが、高子の后(二条后)の唐衣、業平の冠を付けて舞う。単なる杜若の精ではなく、色々な役割を兼ねているので理解しにくい。業平が歌舞の菩薩というのもピンと来ない。美しい舞の部分はかなり長く、冠が少し斜めになっているのは気になるますが、見応え十分。ただ杜若の精の気持ちがわからないため共感できず。最後の御法を得て失せたのは杜若の精ではなく高子の亡霊なのかしら。大好きな映画に関わる、以前から拝見したかった演目が見られてすっきりです。
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