八月花形歌舞伎 第四部『与話情浮名横櫛 源氏店』歌舞伎座

八月花形歌舞伎 第四部『与話情浮名横櫛 源氏店』歌舞伎座
約半年振りの歌舞伎は三世瀬川如皐作『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)源氏店』から。4部制でどの演目も1時間ほど。入場時の検温はもちろんですが、スタッフとの接触は一切無し。物販はもちろん、パンフレットの販売もしない徹底振り。男性用お手洗いも1つ置きなのは驚きました。桟敷席、4階一幕見席も使用せず、席数半分以下の上、2等席(1階席後方、2階席後方)、3階後方席も空席多め。あまりお喋りしないようにという注意もあり、会場は異様な静けさ。こんな歌舞伎座は初めてです。

配役
切られ与三郎:松本幸四郎(高麗屋)
妾お富:中村児太郎(成駒屋)
番頭藤八:片岡亀蔵(松島屋)
下男権助:坂東彌七(大和屋)
下女およし:中村芝のぶ(成駒屋)
和泉屋多左衛門:市川中車(澤瀉屋)
蝙蝠の安五郎:坂東彌十郎(大和屋)

中車さんのアナウンスでの挨拶の後幕開け。幕が上がった時はやはり感慨深い。女形(児太郎君)の顔ってこんな白かったっけなぁ。源氏店で化粧を直すお富のシーンから。それを手伝う下女およしは芝のぶさん!10分ほどの出演でしたが得した気分です。その後は、お富と藤八のコミカルパート。ソーシャルディスタンスをネタにした笑いが盛りだくさん。大好きな白粉も自分で塗ります。亀蔵さんのエロどケチ小心親父っぷりが最高。台詞が無い間、じっと動かず絶の気配で座っていらっしゃる御姿も可愛いのです。

続いて、与三郎と蝙蝠の安が登場。洒脱な笑いを挟みつつ「しがねえ恋の情けが仇・・・」の名台詞へ。休業中、歌舞伎のCDで十五代目市村羽左衛門さんなどの与三郎を聞いていたので、軽やかな感じなのですが、それは現代歌舞伎全体として言えることなのかも。上品ですし、聞き取りやすくて良いですね。その後、多左衛門役の中車さんもしっかり場を絞めてくれましたし、与三郎と安の惚けたやり取りもグッド。多左衛門に渡された守り袋を開くと、中の臍の緒書でお富の実兄と判明、最後もソーシャルディスタンスの関係で抱き合えませんでしたが、和やかな雰囲気で幕となりました。

超メジャーな演目ですが、そう言えば見るのは初めて。CDや落語で見たような気になっておりました。。。思い返せば2月に国立演芸場で拝見した鹿芝居の馬生師匠の高いお声は幸四郎さんに似てなくもなかったな。役者さんも、会場のスタッフの方々もギリギリな感じで、緊張感を持ちながらも、それを感じさせない仕事に、こちらも気が引き締まります。客入りも少し寂しい感じでありましたが、久々の歌舞伎は素晴らしかった。下旬に拝見する予定の『義経千本桜 吉野山』も楽しみです!

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