三遊亭円楽プロデュース「落語大手町2020」よみうり大手町ホール

三遊亭円楽プロデュース「落語大手町2020」よみうり大手町ホール
久々の寄席ではない落語会、一度払い戻しになってどうしようかと思ったのですが、再度チケット取りました。

「看板のピン」三遊亭兼好
この落語会は、本来開催中だった「東京オリンピック2020」のオアシスとして、捻くれ者が多い落語ファンのために企画されたものだそう。話題になった賭け麻雀の話から落語へ。この落語会の主催は朝日・産経ではなく読売・産経でした。初めて拝聴しましたが、面白かった!親分の真似をしようとして失敗する定番の落語ですが、「蕎麦でも食え」と銭を渡したかと思いきや割り箸などなど擽りも秀逸。

「天狗裁き」春風亭一之輔
CDでは拝聴しますが、生で聞くのは初めてです。地方公演で、隣席を開けるための貼り紙に落語家の名前を書いたという話に爆笑。小三治師匠(の名前を書いた紙が途中で)がベロッ、って爆。こちらも定番の落語ですが、オリジナリティ溢れる内容。夢を見ていた八五郎は、家内以外には強めに対応。ムコ養子だから、家内には逆らえないのね。家内との喧嘩を止めに入った隣人が、人差し指と中指を人間みたいに動かして聞き出そうとする時の「得体の知れないものに息吹を与えるな!」の突っ込みも楽しい。最後の高尾山の天狗には「猫のミーちゃん」の夢を見たと嘘を付いた挙句、天狗の見た目に関する悪口を行って天狗を泣かせる始末。皮肉っぽい語り口も素敵。笑わせていただきました。

「ちりとてちん」三遊亭円楽
山田隆夫さんの悪口?から始まり、当時マキシム・ド・パリのオーナーだったピエールカルダンと岸恵子と初めてフランス料理を食べた話も興味深い。落語内で召し上がる物は「久保田 萬寿」「大間の鮪」「鰻の蒲焼」、江戸前に対する蘊蓄は勉強になりました。鰻の頭をしゃぶりながら、白飯にタレを掛けて食べる「うなだれ定食」、粉にした「ちりとてちん粉」など、言葉遊びも面白い。円楽師匠も70歳か〜。これからも末長くご活躍していただきたいです。

「厩火事」柳亭市馬
何かと拝見する(今月も2度目)市馬師匠。五代目柳家小さんと生代子夫人の夫婦喧嘩のエピソードに爆笑。酔っ払って帰ってきた師匠に箒を持った仁王立ちの夫人の「もりおー!」から始まり「くそったれかかぁ!」「くそをたれないかかぁがどこにいる!!」ドッタンバッタン「ぎゃーっ!!」ってやりとり。今の時代にもこんな素敵なご夫婦いらっしゃるのでしょうか?市馬師匠のしっとりした美声で語られると笑いながらも、目に、笑ったせいではない涙が浮かびます。いつもながら安定感のあるとても聞き取りやすい落語でした。離縁したいと仲人に言いながらも、惚気るお崎がとても可愛いです。今は女性が働き、男性が主夫をする家庭も珍しくありませんが、この当時、家にいる亭主はどんな気持ちだったのでしょう。下げの「明日から遊んで酒が呑めねえ」が本心ではないことを願います。

「船徳」瀧川鯉昇
勝手に講談師と勘違いしていたのですが、落語家でした。神田松鯉さんから「鯉=講談師」という観念が頭に入っていたためと思われます。1964年の東京オリンピック開会式を練習中のブルーインパルの編隊を見た小学校6年生の思い出から変態(3人刑務所に入っちゃった)への流れが楽しい。落語の途中の斜めに船に揺られる描写で、こちらも少し船を漕いでしまったのですが、中盤からの盛り上がりが最高でした。徳さんは質屋の若旦那で、「客も流した」という下げも特徴的。

いつも大きな会場で見ると思うことですが、落語は小さい会場の方が良い!どなたかも密集していた方が笑いが生まれると仰っていましたが、まさしく。客席半分の大きな会場は少し寂しい感じがいたします。とはいえ本日は名人ばかりの出演、マクラから落語へ入る流れも皆様素晴らしくて感心しながら拝見させていただきました。笑うって人間らしい最高の行為の1つです。

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