歌舞伎座で「錦秋十月大歌舞伎 夜の部」を拝見しました。1本目は『双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)角力場』です。
配役
濡髪長五郎:中村獅童(萬屋)
藤屋吾妻:中村種之助(播磨屋)
濡髪弟子閂:市村光(橘屋)
茶亭金平:松本錦吾(高麗屋)
山崎屋与五郎/放駒長吉:坂東巳之助(大和屋)
種之助君の吾妻が思ったより可愛らしくて眼福、その後は、なんなんでしょう、とてつもない眠気が。。。
2本目は長唄連中による所作事『菊(きく)』です。
配役
菊の精:中村雀右衛門(京屋)
菊の精:市川男寅(滝野屋)
菊の精:中村虎之介(成駒屋)
菊の精:中村玉太郎(加賀屋)
菊の精:中村歌之助(成駒屋)
菊の精:中村錦之助(萬屋)
眠気が続き、舞台の色味も淡くぼんやりとした夢のような演目。おそらく数日後には記憶に残っていないであろうことも夢のよう。
あっという間に3本目は『水戸黄門 讃岐漫遊篇』、1975年6月の歌舞伎座以来、48年ぶりの上演だそう。テレビの水戸黄門を1時間通して見たことがないですが、面白かった!
配役
水戸光圀:坂東彌十郎(大和屋)
松平頼常:中村歌昇(播磨屋)
うどん屋娘おそで:坂東新悟(大和屋)
佐々木助三郎:中村福之助(成駒屋)
渥美格之進:中村歌之助(成駒屋)
娘お蝶実は九紋竜の長次:中村虎之介(成駒屋)
うどん職人茂助:澤村宗之助(紀伊国屋)
目付沢木源之助:中村吉之丞(播磨屋)
吉太郎妹お光:市川男寅(滝野屋)
港屋の伜吉太郎:大谷廣太郎(明石屋)
山崎又一郎:中村亀鶴(八幡屋)
港屋辰五郎:片岡亀蔵(松島屋)
うどん屋女将お源:中村魁春(加賀屋)
舞台は芝居が催されている金比羅門前から。鎌倉殿から続くTV俳優の坂東彌十郎イジりが楽しい。虎之助君のお蝶は可愛らしく、弁天小僧を模した開き直りからの片肌脱ぎは、女顔だけにドッキリ。助さん役の福之助君は化粧も綺麗な珍しく二枚目、ちょっと抜けている角さん役の歌之助君も清涼剤、そして2人の並んだ立ち姿が歌舞伎役者らしくばっちりキマっている。亀蔵さんの安定の悪役っぷりに、淡々と無表情で水戸光圀の悪口を言ううどん屋女将、魁春さんも面白過ぎる。
1人で家業の船問屋を再興しようとする健気なおそでは、新悟君にぴったりなお役。黄門様とおそでの謎かけや肩もみは親子であるだけにコンビネーション抜群、見ていてほっこり。黄門様の娘同然に応援したくなる気持ちもわかる!終盤、山崎又一郎の邸に能楽師のふりをして忍び込んだ黄門様たち、水戸光圀と判明し、全員が「ははぁ〜」と頭を下げるシーンはスカッとしますが、悪あがきにもほどがある、頼常を斬ろうとする山崎。水戸黄門って印籠見せて「ははぁ〜」で終わりじゃないのね。港屋の伜吉太郎が巻き添えで山崎に斬られちゃうのが可哀想。助さんは長次に殺しだけはやっていない、と言っていたが最後の格闘は全員峰打ちだったのか。光圀と頼常が一緒にうどんを食べているシーンはじんわり。講談で光圀の長男頼常が讃岐藩主となったのは知っていましたが、理解が深まる。廻り舞台の使い方も良いね。うどん職人も茂助はきっと良い人、おそでの幸せを心から祈りたい。客入りは寂しいですが、お茶目でほっこりな黄門様はシリーズ化しても良さそうな彌十郎さんの当たり役ではないでしょうか。歌舞伎座の舞台で「かげろうお銀」も見てみたい。
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