フレンチ 海亀「ラチュレ」表参道

表参道にあるミシュラン1つ星、フレンチ、ジビエ料理の名店「ラチュレ」、おそらく2年半ぶり。今日のお目当てはウミガメ、ウミガメと言えばデンマークのガブリエル・アクセル監督の映画「バベットの晩餐会」、ウィリアム・ゴールディングの小説「蠅の王」などにも食用として登場する憧れの食材。この時期のみのスペシャル「ウサギとカメコース」をいただきました。

鹿のブラッドマカロン
鹿のブラッドマカロン
卵白の代わりに鹿の血で作ったマカロン生地、中に鹿の血のブーダン・ノワール。これも「ラチュレ」のスペシャリテと言えるのでは。小さいですが、力強さがあり相当旨い。

小笠原諸島母島のアオウミガメのコンソメ
小笠原諸島母島のアオウミガメのコンソメ
基本的に捕獲してはいけないアオウミガメですが、東京都小笠原諸島の父島母島では増えすぎて害になるため3月~5月の間、135頭まで捕獲可能。地図で確認しましたが、東京のはるか南の小笠原諸島、めっちゃ遠い。飛行機が使えず片道7日かかるそう。。。ウミガメ料理1品目はコンソメ、東北の筍と山三つ葉、ウミガメのヒレ。ヒレの部分はゼラチンの塊で、ベタつきますと言われましたが、そこまで感じず。なかなか例え難い、洗練よりも野趣味の強いドライな味と言おうか。ちなみに有楽町の「アピシウス」のウミガメのスープは牛コンソメも加えているそう。室田シェフの「うちのより美味しい」との自虐に爆笑。何を大事にするかの違いかと思いますが、アピシウスのもいつか食べてみたいものです。

海亀のタルタル
海亀のタルタル
イタリアンパセリのソース、サフランとニンニクのソース。上には松の実、空豆、ハーブなど。胸から腹のお肉、力強い食感が独特で、爬虫類とは思えません。鮪とかもそうですが、大きくて泳ぎ続ける水生生物は、哺乳類っぽい肉質になるのかもしれません。そう考えると恐竜とかどんな味なんでしょう。ワカメなど海藻を食べているそうで、香りも穏やか。希少な海亀をダイレクトにいただいている感動があり旨い。

パテ・アン・クルート
パテ・アン・クルート
鹿、熊、猪、穴熊、鹿のコンソメゼリー、フォアグラ。ルバーブのジャム、ブルーベリー、ウドのピクルス。こちらもしっかりジビエの旨味。完成度が非常に高い。室田シェフ、おそらく感度の高い方なのでしょう、料理の盛り付けも素敵です。

パイ包み
パイ包み
続いて大好物のパイ包み。中身も嬉しい素材でした!

喉黒のパイ包み焼き
喉黒のパイ包み焼き
色々なキノコとホタテ、サマートリュフのムース、ブールブランソース。アワビや海老はありますが、魚のパイ包みって初めて食べたかも。通常はこの半分なのですがフルでいただきました。嬉しい。いや〜、これメッチャ気に入りました。喉黒もこんだけ食べると満足感有ります。喉黒の個性溢れる質の良い脂が全体に染み渡っている感じで絶品。フレンチの魚料理で感動することなど、ほぼ無いのですが、これは素晴らしかった!

海亀ヒレのブレゼ
海亀ヒレのロースト
ホワイトアスパラ、ウルイ、ソース・トルチュはシェリー酒、スパイスなどを使ったクラシックな海亀専用ソース。八角(スターアニス)、ウルイを使用していることと、海亀のゼラチン質も加わりソースのトロ味が強くなることで中華料理っぽい印象。サイズが大きいこともあり、ゼラチンの厚みはすっぽんと比べ物にならない。口の周りのベトつきがなかなか妖艶。中の肉の質感はやはりドライ、何故か懐かしいマグロ菓子ツナピコ(スーパーツナ)を思い出しました。

リエーブル・ア・ラ・ロワイヤル
リエーブル・ア・ラ・ロワイヤル
室田シェフの説明によると、一説には、甘いもの好きで歯がボロボロになっていたルイ14世のために開発された料理とのこと。別の店で何度かいただいたことがありますが、最も強烈。青森の野ウサギを1ヶ月熟成。特大のフォアグラは中に入れず、ウサギの血のチュイールと共に。ブルーチーズを思わせるが遥かに上回る熟成香がやばい。これは駄目な人は一撃KOですが、好きな人には堪りません。余韻も激烈、ウミガメと共に記憶に残る一品でした。最高。

キノコのバターソテー、菊芋チップ
キノコのバターソテー
オマケの付け合わせは、室田シェフが日本一美味しいという静岡県長谷川農産のブラウンマッシュルーム、イタリア産キノコ、カルドンチェッロのシンプルなバターソテー。マッシュルームは肉厚プリプリしっとり、イタリアのキノコも素晴らしい。キノコ大好き。

ヴァシュラン
ヴァシュラン
これも良かった。ミント、熊本の甘夏、蕗の薹のグラニテ、メレンゲの器の中にはクレームブリュレ。メレンゲを割ると、ブリュレ、グラニテが綺麗に広がります。蕗の薹は主張が強い素材なので、失敗するととんでもないことになるのですが、苦味の効かし方が絶妙。

ミニ・レーズンバターサンド
ミニ・レーズンバターサンド
最後は香ばしく濃い美味しいコーヒーと最近テイクアウトも始めたというレーズンサンドのミニ版で。

主力のジビエはもちろん、それ以外の魚料理、デセールも素晴らしく、程よくカジュアルなサービスも良好で、隙が無い。初めてのウミガメ、そしてパワフルなウサギ料理、「ウサギとカメコース」存分に堪能させていただきました。珍獣、ジビエ好きには超絶嬉しく楽しいフランス料理店、今後は定期的に通ってしまうことになりそうです。ごちそうさまでした。

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