国立劇場で一之輔さんの落語会を拝見した後は、2ヶ月ぶりに浅草ロック座へ。「まつろわぬもの 第二期」を拝見しました。キャッチが「鮮烈！異人たちが織りなす秋の幻想奇譚！」ということですが、まさかのテーマが日本の古典ばかりで度肝を抜かれました。
「1景 土蜘蛛」ゆきな（笠木いちか、永澤ゆきの、ダンサー4名）
舞台に張られる蜘蛛の糸、ニンが土蜘蛛っぽくはないとか、そういう見方をしてしまう。ダンサーの中に超絶にうまい方がおり、そっちに目が。蜘蛛の糸替わりのリボン投げを！！と思わずにはいられない。
「2景 浅茅が宿」永澤ゆきの（橋下まこ）
井原西鶴の『雨月物語』より。夫婦の悲しくも愛情溢れるお話。橋下まこさんのキレのあるダンスと比べると、動きはややのんびりですが、柔軟性が素敵。着替えの際、日本映画をスクリーンに写す演出に驚き、そして永澤ゆきのさんの切ない表情にやられる。今回一番グッときた。
「3景 虫めづる姫君」藤川菜緒（友坂麗、ゆきな、笠木いちか）
水色のドレスはナウシカを意識したものか。コミカルパートでカマキリ、カタツムリ、毛虫（芋虫？）のコスプレも可愛い。最後は『姫君Shake!（レキシ）』にのってシェイクシェイク、低身長の子供顔で後半はなかなかの煽り方。はらぺこあおむしの人形の使い方が新鮮でエロ面白く、盛り上げ方が上手い！
「4景 平将門」鈴木千里（ダンサー4名）
解釈が斬新、弓矢で敵対する敵を殲滅する平将門、後半は大将の憂鬱、将門の憑依？『帝都物語』の加藤保憲のイメージなのか手袋の五芒星に黒いレザーの軍服のようなもの、しかしこの雰囲気は、イタリア映画『愛の嵐』を想像せずにはいられません。スリムな体型でダンスが上手くて格好良く、マント状の衣装のはためきも美しい。マイケル・ジャクソンの楽曲がぴったり調和、久々に職人技のリボン投げも見られてとても嬉しくなります。
「5景 好色五人女」笠木いちか（橋下まこ、友坂麗、藤川菜緒、永澤ゆきの）
「修羅だってクラスメイト（The Otals）」の可愛いけどブラックな音楽で。振袖付きのセーラー服が可愛らしく学校椅子を使ったダンスも面白い。寂しいテーマが多い中、文句なく楽しい舞台。後半はバラの花柄のピンクのネグリジェ風衣装でしっとりと。虹色の照明も楽しい。『長い夢（YUKI）』の最後の歌詞「バイバイ」での暗転も素敵。
「6景 鉄輪」友坂麗（鈴木千里）
能楽の演目でお馴染みの『鉄輪』、安倍晴明の鈴木千里さんとのダンスは宝塚っぽく素敵。大量の煙の演出、縛られる糸のような照明も格好良い。五芒星は、陰陽道では魔除けの呪符として伝えられているという。個性的なお顔立ちの顔の友坂麗さん、表情が見たいのですが、ほぼ般若の面装着でそこは残念。長い黒髪が面と合っていますが、本物の能面じゃないと迫力は弱いか。
「7景 蝦夷」橋下まこ（鈴木千里、ゆきな、藤川菜緒、ダンサー4名）
衣装はドラクエVっぽいけど、めちゃめちゃスーパー歌舞伎っぽい雰囲気。仲間に別れを告げて、1人朝廷に立ち向かっていったのか、憂のある表情が素敵。高身長でスタイル抜群で華があります。『希望の夢（MISIA）』の歌詞が沁みる。
「フィナーレ 火の鳥」
宝塚のレビュー状態、1人だけ赤い衣装の橋下まこさんの華やかさが半端ない。『Time Messenger（葉加瀬太郎）』が無限ループです。
このテーマだったら能楽の演目はかなりの数いけそう。『勧進帳（安宅）』とか『道成寺』もやってくれないかなぁ。今日は海外（アジア）のお客様や女性も多く、平日昼に関わらずほぼ満席。連日大入りが続いているといから本当素晴らしい。今年中にあと2回はお伺いしたい浅草ロック座です。
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