令和3年3月歌舞伎公演『時今也桔梗旗揚』国立劇場

令和3年3月歌舞伎公演『時今也桔梗旗揚』国立劇場
皇居外苑でお能は拝見した後は、急ぎ国立劇場へ。まずは「入門 歌舞伎の“明智光秀”」と題して作者の鶴屋南北の弟子鶴屋東西こと片岡亀蔵さんがお芝居の説明。面白い事は面白かったですが、ちょっとこの部分いるかな?と思っちゃいました。。。

配役
武智光秀:尾上菊之助(音羽屋)
小田春永:坂東彦三郎(音羽屋)
光秀妻皐月:中村梅枝(萬屋)
森蘭丸:中村萬太郎(萬屋)
光秀妹桔梗:坂東新悟(大和屋)
森力丸:中村鷹之資(天王寺屋)
山口玄蕃:中村吉之丞(播磨屋)
住職日和上人:片岡亀蔵(松島屋)
連歌師宇野丈巴:河原崎権十郎
安田作兵衛:中村又五郎(播磨屋)

案内に続いて『時今也桔梗旗揚(ときはいまききょうのはたあげ)』、通称『馬盥の光秀』、序幕「饗応の場」から。光秀の妹桔梗役は坂東新悟さん、再開してからはちょい役が多かったの絵久しぶりに素敵なお声が沢山聞けて嬉しいです。小田春永(織田信長)役は坂東彦三郎さん、声は良いけど、でかくもある。凄みはあまり感じられないが、狂気は感じます。

休憩を挟み二幕目「本能寺馬盥の場」、桔梗の活けた花にもなんのかんのイチャモンを付ける春永、光秀再登場の後、馬盥で酒を飲まされ、中国地方への出陣の命令、領地の接収をほのめかされ、懇望していた名刀日吉丸を別の臣下に取られ、最後は妻皐月の切髪ときた。光秀に謀反の考えはあったと想像されますが、皐月の切髪で決心をしたのでは。真柴久吉(豊臣秀吉)が活け花に使っていた轡を持って帰ったのはどういう意味があったのか。最後は怒りを秘めた足取りで引っ込み。大詰「愛宕山連歌の場」、一番の見所かと思うのですが、わりとあっさり。「時は今 あめが下知る 五月かな」は「土岐は今 天が下知る 五月かな」に置き換えられる(明智光秀が土岐家の末裔であったという仮説による)。句を読んだ後、上使2人を日吉丸で斬殺、チラシに乗っていた三方を踏み潰す演出はありませんでしたね(九代目團十郎型と七代目團蔵型の2種類があるのか、今回は後者)。最後は光秀の高笑いで幕切れ。

内容や台詞もわかりやすい舞台ですが、今までのお役の蓄積もあり悪人のイメージが全く無く、お顔も端正で理知的な菊之助さんはどうしても良い人に見え凄惨さは全く感じられない。この年齢で吉右衛門さんみたいな凄みを出すのは難しいでしょうね。とはいえ今年初めての1階席3列目、双眼鏡無しで役者さんのお顔がはっきり見えるのは良いもの。国立劇場の席料のリーズナブルさには感謝です。

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