「STEPS ON BROADWAY 2nd season」浅草ロック座

3ヶ月ぶりに浅草ロック座で「STEPS ON BROADWAY 2nd season」を拝見しました。タイトル通りニューヨークのブロードウェイ劇場で上演された人気ミュージカルがテーマ。全ての作品が映画化もされているので分かりやすい。

1景「キンキーブーツ」大見はるか(鈴木千里、ひなた鈴、ダンサー4名)
やはりミュージカル調、大画面に映し出される両足を開いた下半身の映像、それに合わせてシルエットで踊る演出が面白い。ドラァグ・クイーンたちの賑やかなダンス。顔が見えないギラギラウィッグの鈴木千里さんが超クール。足首の動きでで手拍子を誘う技術に驚く。

2景「蜘蛛女のキス」ALLIY(南まゆ)
ゲイのモリーナと、社会主義運動の政治犯バレンティンが南まゆさん、男装も素敵だ。私が苦手な女郎蜘蛛柄の網タイツ、股間に蝶でお尻に真珠という際どい組み合わせも笑わせないのが凄い。蝶を食う演出、うにうにと転がりながら舞台へと下がる過激な演出。糸に囚われているのは結局、自分自身なのでしょうか。

3景「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」ひなた鈴(南まゆ、広瀬あいみ、大見はるか、花井すずく)
今年3月に新宿ニューアートで拝見した方ですが、ロック座は初出演だそう。やはり浅草だと輝き方が違う!4名のキャビンアテンダントたちがチャーミング、詐欺師のフランクから、セクシーなキャビンアテンダントの衣装へ。盆上で回るパンアメリカ空港のショルダーバッグがシュール、その中に赤い下着をしまった後、そこから出てくる偽造小切手が奇術のようで楽しい。クールな見た目と明るい笑顔のギャップが素敵な流し目の女王。

4景「キャバレー」鈴木千里(ダンサー4名)
知識がない作品。幕の間から帽子がのぞく意表を付く始まり。プロのダンサー4名のダンスは迫力有ります。金髪ショートと茶髪ロングを組み合わせたアニメや2.5次元舞台に出てきそうな髪型がスタイリッシュ。

5景「フラッシュダンス」花井しずく(広瀬あいみ、ALLIY、大見はるか、ひなた鈴)
続いても知識のない作品。ストリートダンスで否応なく盛り上がりますが、冷静な猫顔、広瀬あいみさんの踊りの巧さに驚く。今年1月に拝見した時は狂気なステージでしたが、今回は陰から陽、表情の豊かさが素晴らしい。映画のジャケット同様のカットソーから片乳はやられます。終盤は全てを脱ぎ捨て表情はさらに清々しさを増す。柔軟な体を生かしたアクロバティックなダンスも格好良い。とても良い!

6景「レ・ミゼラブル」広瀬あいみ
ミュージカルは見たことがありませんが、本は既読、ジャン・バルジャンがとても素敵なのだが、流石に未登場。前半は村娘風衣装のファンテーヌ、最後は舞台下手で力尽きる。後半は赤いドレスのコゼット、全編において表現力高く、気高さすら感じる踊りに惚れ惚れ。照明の効果もあり、盆上の広瀬あいみさんは、もはや崇高で涙腺を刺激される。『Do You Hear the People Sing? 民衆の歌』で盛り上がりは最高潮、フランス国旗色の青、白、赤の照明と広瀬あいみさんが掲げる市民の抵抗のシンボルである赤旗が交差するのは、六月蜂起の場面そのもの。目力も強いが、スタイルも強靭で美しく、「レ・ミゼラブル」の感動が蘇る。

7景「マイ・フェア・レディ」南まゆ(鈴木千里、ALLIY、花井しずく、ダンサー4名)
鈴木千里さんのヒギンズ教授役はぴったり、花売りからの見事な変化、右足だけ高いヒールを履いてちゃんと踊れるのは凄いわ。アスコット競馬場でオードリーが着用していた白に白黒ラインが入ったドレスを再現し、頭にはティアラ、南まゆさん、ALLIYさん、花井しずくさん、笑顔がとても素敵なお三方の花道でのダンスがとても良い。男性役4人の傘の後ろで衣装替えしピンクのドレスへ。切ない表情も良いですが、南まゆさんは、やはり笑顔が良く似合う、今回も全てを包み込む圧倒的な癒しの女神感で舞台を支配している。

フィナーレ「へアスプレー」
打って変わってとにかく楽しいフィナーレ、いつもより時間も少し長めか。腕振りガニ股ダンスがとてもチャーミング、ひなた鈴さんの弾ける笑顔も素敵過ぎる。幕が閉じた後、皆の笑い声が聞こえるのも、心が温まります。その数日後、初めて拝見した映画『ヘアスプレー』はビッグサイズの主人公トレイシーが仲間と共に体型や人種の差別に立ち向かう話。人に浅草ロック座(ストリップ)が好きと言うと、異常に引かれる場合がある。踊り子さんたちも裏側での苦労は相当と想像されます。『You Can’t Stop the Beat 』、そんな思いも込められたフィナーレだったのかもしれません。とはいえ久しぶりでしたが、やっぱり文句なしに楽しい浅草ロック座でした!

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