
1ヶ月ぶりの浅草ロック座で「葉隠 1st season」を拝見しました。平日でしたが1回目公演から大入です。
1景「平敦盛」黒城レイ(橋下まこ、ダンサー4名)
橋下まこさんの熊谷直実の不思議な舞の0景から続く1景色、熊谷直実と平敦盛、平家物語とも歌舞伎とも違う結末。黒城さんの肩には平家の揚羽長の紋、赤と白の照明が印象的。ベッドでは笛を吹く所作など優しい敦盛、浅草ロック座の演出、現実には悲劇的な結末を迎えた人物に光が差すのが素敵。
2景「妖刀」小宮山せりな(広瀬あいみ)
刃先がグリーンに光る怪しい妖刀村正。着物に袴の武士衣装の広瀬さん、腰にバンドを付けたアニメ風の黒い衣装の小宮山さんに体も心も操られ最後は腹を刺して自害。笑顔を封印したダークな小宮山せりなさん、化粧も大人っぽい。黒の網タイツ衣装に赤のシルクを使ったエアリアルは目が離せません。最後の逆さに落ちるパートは刀で胸を刺される衝撃。
3景「櫻の園」月形はるひ(橋下まこ、鈴木ミント、黒城レイ)
チェーホフよりも漫画の「櫻の園」がベースのよう。上手に床几台と傘、振袖セーラー服が素敵。踊りは上手ではありませんが、醸し出すムードが素晴らしい。SEKAI NO OWARIの『RAIN』に合わせた照明も虹色、願いは叶いませんが最後は希望を感じる。
4景「雪之丞変化」YUME(広瀬あいみ、ダンサー4名)
歌舞伎の定式幕、花道に和装、日本髪、和傘のYUMEさん。もともとは江戸、野朗歌舞伎の時代、月代を隠すための名残という紫帽子を付けた雪之丞。定式幕が落とされると敵役の広瀬さんとダンサー4名。梶芽衣子の『修羅の花』が良いが、洋風美人のため、重そうな日本髪と日本舞踊風のステージに少し違和感を感じますが、終盤の移動盆でポーズを次々と決める姿がとても印象的。
5景「中沢琴」鈴木ミント(小宮山せりな、YUME、月形はるひ、黒城レイ)
存じ上げませんでしたが江戸幕府の警備組織「新徴組」の女剣士、中澤琴をリーダーとした五人組ヒーロー。小宮山さんは脇差、YUMEさんは手裏剣、月形さんは鎖鎌、黒城さんは縄鏢?と忍者っぽい部分も。ショートの金髪、キレの良い動きでポーズを決めるYUMEさんが格好良過ぎでレーザー照明もスタイリッシュ。鈴木ミントさんは優しいお顔の二枚目キャラが似合う。
6景「伽羅奢」広瀬あいみ
明智光秀の娘で細川忠興の正室だった細川ガラシャ、ステージの白いレースのストールが巻かれた巨大な十字架。唯一のドレス風衣装ですが振袖は統一。ニンがハマり過ぎており、立ち姿も美しいプロポーション、慈愛に満ちた踊りも素晴らしい。今日一番感動した景でした。
7景「元寇」橋下まこ(鈴木ミント、小宮山せりな、YUME、月形はるひ、ダンサー4名)
最後はふわっとしたテーマの景ですが、元寇で闇討ちを武器に活躍した1人の武士の話、面頬を付け蒙古軍を闇討ちで倒していきますが、武士道に反した行動のため、その後、激しい自己嫌悪に陥る橋下さん。しかし最後の『And We Run』、「孤独な心を抱いて駆けてゆくのさ」という歌詞がとても心強い。そして橋下さんの表現力、目力の強さに慄く素晴らしいステージでした。
フィナーレ「葉隠」
最後は白いロングドレスにターバンと完全に洋風で一見「葉隠」と関係なく見えますが、サッカー日本代表のテーマ曲だった『A Queston or Honer』歌詞がぴったり調和している。ダークでシリアスな景が多かったですが、最後は皆さんの笑顔が見られてホッといたしました。次回公演も楽しみにしております。
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