10月企画公演『新作狂言/楢山節考』『復曲能/鐵門』」国立能楽堂

国立能楽堂で10月企画公演「さだめの彼方に」を拝見しました。

配役

新作狂言『楢山節考(ならやまぶしこう)野村万作』
深澤七郎原作、今村昌平監督、木下惠介監督も映画も拝見しており、とても好きな作品です。野村萬斎さんの引き込まれる語りから始まり、揚幕から万作さんのおりんが出てきた時が一番感動したかも。おりんの台詞は一切無し、村人が楢山まいりの掟を聞く部分から、おりんをおんぶする描写はこんな感じか。途中で嫌がるお爺さんを七谷へ突き落とす場面なども。一番、冷静な目の烏、烏よりよっぱど残酷な人間。おりんに雪が積もる描写も興味深い。後半はおりんの夢とも現ともつかぬ場面が続く。石で歯を折る場面、子供が歌う盆踊り歌「塩屋のおとりさん 運がよい 山へ行く日にゃ 雪が降る」が何回も繰り返される。楢山まいりを正当化するために作られた都合のよい歌、運がよい訳はない。期待が高かっただけに、そこまでの感動は無かったかも。でも機会があればもう一回見てみたい。

復曲能『鐵門(てつもん)片山九郎右衛門』
大好きな俳人、高浜虚子作の新作能。ベルギーの劇作家モーリス・メーテルリンクの戯曲『タンタジールの死』からの着想という。舞台は楢山節考と同じく信濃の善光寺の暗穴道、城に一人で住む姫を助けられなかった老僕、姫をさらう悪尼が怖すぎる。女の子供が多かった虚子の思いも感じられ、悪尼は病気や災害、事故などなんでも当てはまる。片山九郎右衛門のアグレッシブで美しい所作が素晴らしい。老僕は姫と一緒に出てくるため、姫と出会えてよかったのではと思いきや、姫を奪われる経験をずっと繰り返していると思われる。悲しい思い出は忘れることができない。理解しやすく面白い舞台でした。面はシテが「頼政(宝来作)」、ツレが「万媚(是閑)」でした。

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