
2ヶ月びりの浅草ロック座で「The Play 1st season」を拝見しました。
1景「SIX」大見はるか(橋下まこ、矢沢ようこ、YUME、花井しずく、月形はるひ、永瀬かれん)
2017年初演のイギリス発のミュージカル、ヘンリー8世の6人の妻がガールズバンドを結成する話。大見はるかさんは一人目の妻のアラゴン、衣装や色分けも原作に忠実、ここから矢沢ようこさんの苦難が続くのが笑える。大見さんの狂気なキャラに加え、時に首を切る凶器、体を包む柔幕、応援フラッグにもなるゴールドの羽根の衣装が本当に素晴らしい。盆上でこんなに叫ぶ人を初めて見た。最後に赤いベロアにゴールドの椅子上で衣装を脱ぐ流れも良い。最高に盛り上がる1景の女王。
2景「オセロー」花井しずく
歌詞なしの音楽、全て盆上で完結する圧巻の2景、盆上に横たわり(死んでいる?)、頭には白いベール、柔軟な体にバレエのようなダンスが美しく跳躍力凄いですが、感情表現が素晴らしい。激しい苦痛からの祈りのポーズは照明の効果もあり、もはや崇高、足の先までしっかり気持ちが入っている。浅草ロック座のデスデモーナは悲劇のヒロインでは終わらない。圧倒的な抱擁力で全てが許され浄化されるよう。泣ける。
3景「ヘザーズ」月形はるひ(橋下まこ、大見はるか、永瀬かれん)
1988年公開のアメリカ映画より。色分けされた制服姿で青の月形さんが主役のベロニカでメガネ姿、赤の橋下さん、緑の大見さん、黄の永瀬さん。映画では転校生の男子JDがやばいらしいが、ベロニカに乗り移ったのか。クロッケーでの反撃からダイナマイトで爆破。衣装替えで赤ヘザーから奪った赤いリボン、濃紫のロングコート、黒いロングブーツ。立ち姿が絵になるのは凄い。アレンジされてはいますがニルヴァーナの『Smells Like Teen Spirit』に感動、何もしないと思わせておきながら繰り出される大技にも感動。幕が閉じる瞬間のアッカンベーではごまかしきれない狂気がここにも。
4景「ハートビート」YUME(ダンサー4名)
2016年公開のアメリカ映画より。知らない映画でしたがこの後早速拝見、バイオリンの音とヒップホップダンス、赤いドレスの意味も理解できて10倍楽しめ、ルビーの友達のジャスミンは篠明愛莉に似ている気がする。体脂肪が少なそうな筋肉質の均整の取れた体に日々の努力を感じるYUMEさん、キレの良いバレエ風のダンスに4人のダンサーが格好良過ぎる。力強く華やかなベッドショー、美形で踊りも盛り上げ方も上手く隙なし。照明に輝く美しい汗には、どんな衣装も敵わないかも。圧巻の前半4景。
5景「&ジュリエット」永瀬かれん(矢沢ようこ、ダンサー4名)
2019年にイギリスで初演されたミュージカル。もしジュリエットが死ななかったらという設定のアゲアゲミュージカルのよう。ピンクの大きい棺桶にロミオとジュリエット。1景に続き好き放題した挙句、女性たちに反撃される矢沢さん、コミカルなダンスが笑える。ピンクのスカジャンからピンクのマラボー素材のベスト、ワカメスカートと可愛いが全開。いつもながらの困り顔で応援したくなりる永瀬かれんさん。
6景「蜘蛛巣城」矢沢ようこ(YUME)
シェイクスピアの戯曲『マクベス』を戦国時代に置き換えた黒澤明監督の『蜘蛛巣城』、三船敏郎が演じた鷲津武時役のYUMEさんも男前で格好良く、虚しく幻と戦い続ける。照明を使った矢の表現も素敵。映画と同じく能楽のような序盤から、後半は武時が死んだ後の映画では描かれない浅茅、蜘蛛の巣柄の長襦袢、洗っても取れない血に苦しめ続けられるダークな演出。最後は腰紐で首吊りとなかなかの後味の悪さでインパクトは抜群。
7景「夜の女王」橋下まこ(大見はるか、花井しずく、月形はるひ、ダンサー4名)
モーツァルトのオペラ『魔笛』から。舞台に通常ではあり得ない横向きの三日月、黄色い巨大なマントで中央に立つ橋下まこさんの威厳と自信。金髪、赤い中国風な衣装の侍女3人は操り人形のよう。目隠しで蠢くダンサーも怖い。「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」でナイフを振り回す女王の感情は最高潮、「オペラ座の怪人」の『Music of the Night』がはまり過ぎ。最終的には、感情が破綻していると思われる夜の女王、橋下まこさんの憑依芸は見応え十分。素晴らしいプロモーションと高い技術による美しいポーズの迫力。計画が失敗したとしても笑い続ける夜の女王の強さ。
フィナーレ「The Play」
本公演のそれぞれの衣装に着替え、ロック座の舞台裏の風景。トリの橋下まこさんのメンバー紹介も珍しい。前半の4景にやられてしまった「The Play 1st season」、演者はもちろん、総合演出の方の見識の深さ、振り付け、音楽と総合力が素晴らしい浅草ロック座。2ndの南まゆさんの夜の女王も拝見してみたいところです。
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