落語「《噺小屋session とざい、とーざい》 桂南光×入船亭扇遊」国立演芸場

《噺小屋session とざい、とーざい》 桂南光×入船亭扇遊
開口一番:入船亭扇ぽう「たらちね」
先月も前座で聞いた演目。滑舌がよくなくて、少し聞き取りにくいか。肌が綺麗だと思ったら北海道出身の方なんですね。下げは「こりゃお経だ」

桂南光「化け物使い」
マクラの米朝事務所の話は鉄板です。直(ちょく)営業で社長(米團治)、専務(ざこば)、常務(南光)が勢揃いして役員会議が開かれたエピソードに爆笑。南光さんの個性的なガラガラ声もご健在です。化物屋敷と噂される一軒家に引っ越してきた夫婦の話。丑三つ時になると寒気に襲われ化物登場、主人は化け物を全く怖がる様子もなく、引っ越しの片付けや家の修繕、皿洗いなどを命じます。一つ目小僧、三つ目入道、のっぺらぼう女、大狸の弱り切った表情が楽しい挨拶代わりの一幕。下げは「人使いが、いえ、化け物使いが荒いです」

入船亭扇遊「妾馬」
初めて知ったベテラン落語家でしたが、とても聞き取りやすく、軽やかで清潔感のある話芸です。先夜飲み過ぎて寝不足、不覚にも何度か寝かけてしまいましたが、後半持ち直しました。八五郎が母に赤ちゃん(孫)の顔を見せてやりてぇと涙ながらに語るシーンはやばかった!あと少し念入りにやられていたら崩壊してました。短縮バージョンでしたが、しっかりと聞きたい演目です。

入船亭扇遊「ねずみ」
大好きな彫物師「左甚五郎」の登場する話、演じる人や演目によりけっこうキャラが変わるのだが、しっとりと優しさ感じる寛容で人のいい甚五郎でした。子供の役もとてもお上手。木の動くネズミを目で追う仕草などとても繊細な名人芸。腰が立つ立たないの重ね、仙台町人が「いごく(=動く)」を連発するのが面白かった。間違いないです!

桂南光「三枚起請」
上方バージョンを聞くのは初めてで面白かった!そもそも起請とは約束を神仏に誓うため護符などの裏に書くものということや、遊女のことを「おやま」ということなど勉強にもなりました。擬音や擬態語など枝雀師匠を思い出させる部分も多く、嬉しくなります。起請文に粋でない職業まで書かれていたり、大根おろしで殴り込もうとするなど細いくすぐりも最高。起請文も字が抜けており、黒いじゃがいもに似てると言われ、しまいには黒犬のボタにそっくりでと言われてしまうのんびりとした仏壇屋が可愛くて笑える。下げは三人が別々に茶屋にやって来て同じ台詞「俺だけは小てるを信じてる」。1枚し書いてはいけない決まりのある起請文を3枚も書き、さらには活版印刷にしようかしらとまでいう遊女小てる、最後はああいう下げになるように、きっと小てるさんは知的でとんでもなく魅力的な女性であったと想像され、もう清々しい気分でした。

江戸落語と上方落語の雰囲気の違いもよくわかり、とても楽しい会でしたが、空席がわりとあったのは意外。名人お二方のセッション堪能させていただきました!入船亭扇遊師匠、2019年秋の紫綬褒章の受章おめでとうございます!!

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