「あさば旅館 修善寺散策」

修善寺で宿泊させていただいた「あさば旅館」はなんと1675年創業の老舗旅館。格式漂うエントランスです。
あさば旅館
スタッフの方は皆様物腰柔らかで緊張感はありません。床は全て畳敷きになっており気持ちが良いです。部屋までご案内いただくのですが、なんと左靴下のかかと部分が破れており、なんとか後ろを歩くスタッフの方に見つからないようにするため、変な歩き方になってしまいました。きっと気付かれていたと思われます。。。

あさば旅館のシンボルの能楽堂。水面に写った逆さ能楽堂も美しいです。
能舞台「月桂殿」
旧大聖寺藩主、前田利鬯子爵より寄進された能舞台「月桂殿」は明治後期、七代目浅羽保右衛門により「あさば旅館」へと移築され、現代へと受け継がれているという。仲居さんの話によると110年ほど前、能舞台の床下には音響効果を高めるための甕(かめ)も納められているそう。一度実際に能楽を拝見したいものです。

「サロン」に設置された椅子は金属彫刻家ハリー・ベルトイアの「ダイヤモンドチェア」、とても素敵な座り心地でした。
あさば旅館 サロン
モダンアート作品が飾られ、書架には伝統芸能や伝統文化の本などが並びます。露天風呂上がりにいただいた冷たいビール(白穂乃香だったか?)、早朝にいただいたコーヒーは最高に旨い!

サロンの手前の壁にはデジタル数字がシグネチャーの現代アーティスト宮島達男さんの作品。

古典と現代を品良くミックスした全てにおいて心地よさを感じる空間です。

宿泊したのは「雨月(うげつ)」という部屋、各部屋名は能の演目となっています。能楽堂の正面なのですが、なんと贅沢な。新内仲三郎さんの新内流しも素晴らしかったが、この部屋に宿泊できたのが一番嬉しかった。
能舞台「月桂殿」
夜は11時頃までライトアップされており、独り占め状態。お風呂上がりの火照った体に冷たい風が心地よく、永遠に見ていられます。窓を通して能楽堂を拝見するのと、窓を開けて直で目で見るだけでも感覚が全く違うので、写真などでは絶対に伝わらない柔らかな威厳と崇高さ。

直島の李禹煥(リ・ウーファン)美術館で拝見した確か「対話」という大きな石の作品と対峙した時と同じ感覚(あさばのロビーにリ・ウーファンの作品が飾られているのは偶然ではあるまい)。目に見えざるものはあらゆる場所に存在していると思うのですが、やはり色濃く存在を感じる場所があり、古い能楽堂などその最たるものではないでしょうか。素晴らしい。そして、この舞台で色々な演目が行われている様をあれこれ想像し、うはうはと楽しめるのはお能好きの特権でしょう。本当に素晴らしい。

朝、仲居さんに「カワセミもたまに来るんですよ」というお話を聞いた直後、能楽堂の横の紅葉に遊びに来てくれました。
カワセミ
光によって変わるブルーグリーンの羽が綺麗で円らな瞳がとても可愛い。5分ほど休んで飛んでいきましたが、最後にとても素敵なプレゼントでした。

「桂川に桂橋」
桂川に桂橋
朝6時前に起きて修善寺を散策。誰も人がいなくて気持ちが良いです。紅葉には2週間ほど早かったみたいです。

「修禅寺(福地山修禅萬安禅寺の略)」
修禅寺
門の両脇を守護する阿吽の金剛力士像が指月殿から遷されたそう。修禅寺は807年に弘法大師によって開創され、その後約470年間は真言宗として栄え、鎌倉時代には臨済宗、室町時代には曹洞宗に改宗したそう。面白いですね。

「鐘楼堂」
鐘楼堂

全体としても美しいですが、天井四隅に設置された獅子が格好良い。
鐘楼堂の獅子
猛々しいですが、ちょっとだけ愛嬌のある表情、爪や毛並みの表現とかグッときます。

「指月殿」側の広場の朝露にしっとり濡れた苔の鮮やかさ。修善寺の苔ここで引き返そうと思ったら脇の看板に「おしゃぶり婆さん 350m」と書かれているのを見つけ、名前に惹かれて行ってみました。山道に入るのですが、山の350mを見縊っていました。朝からしんどく大変でしたが何とか到着。

「おしゃぶり婆さん」
おしゃぶり婆さん
何とも言えない複雑な表情です。子宝子育ての神様だそうな。

そして廃業した遊技場には人気キャラの抜け殻。
人気キャラの抜け殻

「竹林の小径」
竹林の小径
真っ直ぐに伸びる青竹、見ている方の背筋も不思議と伸びるようです。

1時間ほどの散策を終え「あさば旅館」へ、朝は門が閉じています。この門の重厚感のある木彫も素敵です。
あさば旅館
1つだけ失敗したのは化粧水など何かしら置いてあると思って何も持っていかなかったら、スキンケア用品が一切無かったこと(シャンプー、ボディソープ、歯ブラシなどはあります)。ワセリンで何とか凌ぎましたが。そんなことは些細なことでして、何度でも帰ってきたいと思わせる本当に素晴らしい旅館でした。

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