日本料理『あさば旅館 夕餉朝餉』修善寺

楽しみにしていた「あさば旅館」のご飯、旅館のご飯って大層なプロモーションの割にたいしたことが無いのが常ですが、食事が最高に美味しいと評判のこちらは如何に。新内仲三郎さんの新内節を堪能した後、夕食です。

「香箱蟹」
香箱蟹
今年初めて!大好物の香箱蟹、嬉しいです!下処理もとても綺麗で、大変美味しくいただきました。この後の料理にも期待できます!

「霜月盛肴」
霜月盛肴
イクラ醤油漬け、猪のベーコン、衣被。

「沢煮椀」
沢煮椀
椎茸、ゴボウ、ウドからもお出汁が出た美味しいスープは、隠し味に豚の背脂とコショウ。ルーツを辿れば背脂や胡椒にも意味合いがあるそうです。山の野菜がたくさん入った洗練された田舎料理。素晴らしい。

「地魚 伊勢海老造り」
地魚 伊勢海老造り
駿河湾の真鯛、アオリイカ。お造りもハイレベル、真鯛は新鮮でブリブリでした。海老は伊勢海老醤油で。

「鰆 炭火焼」
鰆 炭火焼
とてもサイズが大きいと思われる旬の鰆。美味しいに決まってます。

「ずがに汁 蓮芋」
ずがに汁 蓮芋
モクズ蟹のスープで下にシャクシャクの蓮芋(芋茎)、濃厚で絶品。

「大中寺芋 雲子 衣揚げ」
大中寺芋 雲子 衣揚げ
大中寺芋は沼津にある臨済宗妙心寺派の大中寺で作られていた芋、海老芋のような感じです。味が美味しいということで沼津御用邸(皇族の療養所)からも頻繁に注文があったそうです。里芋ほど強くなり歯切れの良い滑りと旨味、タラの白子は今年初、冬が来た感じがいたします。

「穴子黒米ずし」
穴子黒米ずし
香りとプチプチした食感が楽しい黒米は修善寺の名産だそうです。とろとろの江戸前の煮穴子と合わせて。

「天城軍鶏たたき鍋」
天城軍鶏たたき鍋
あさば旅館、秋の名物。軍鶏特有の食感と旨味を感じられるように荒いつみれにしたもの。力強い出汁、何気にネギが旨い。

最後は雑炊かと思いきや、鍋で軍鶏の卵のみを調理。
玉子丼 調理中
極ゆっくりと流すことでふわふわに仕上がります。卵がだんだん厚く盛り上げっていく様は見ていても面白い。

「玉丼」
玉丼
中に軍鶏の肉も少しだけ入っています。軍鶏卵の繊細な甘味と米の甘味が幸せ。米がやたら美味しいと思ったら修善寺温泉を流れる桂川上流部で育てられた「修善寺桂流コシヒカリ」、しかも新米!いかに米自体が美味しいといえども、その後の処理や炊き方が味を決めると思いますが、あさば旅館の料理人の方、流石です。全てにおいて上質でありながらも、決して華美でないあさば旅館らしい料理です。

「甘味」
くずきり
パンナコッタ、メロンも選べましたが、和甘味のくずきりを選択。

最後はカボチャ、グランマルニエのアイスも付きます。
カボチャ、グランマルニエのアイス
お腹もいっぱいで、非常に満足感のある夕食でありました。使われている器も見事です。それほど宿泊経験があるわけではないですが、今までの旅館、ホテルの中では間違いなくナンバーワンの内容でした。素晴らしい。

そして次の日の朝食がまたまた素晴らしい。

「椎茸」
椎茸
修善寺名物の椎茸はシンプルに炭火で。肉厚ジューシーで大変に旨いです。

味噌汁は大きいシジミがたっぷり。出汁も濃いめに仕上げ朝にぴったり。
あさば旅館の朝食
この前に、茄子の煮浸し、小松菜のお浸し、椎茸の白和えがそこそこの量で出ています。さらにシンプル過ぎて写真はありませんが、昨夜も出た修善寺米に削りたての鰹節、ワサビ、醤油を乗せて食べるおかかご飯が超絶旨いです。

あさば旅館、朝の名物の柔らかいが適度な弾性のある「出汁巻き卵」
出汁巻き卵
とろぼっち干物
脂がしっかり乗ったメヒカリの干物も抜群。ちゃんと炭火で焼いてふわふわ。顔が怖い深海魚ですが、この界隈では可愛く「とろぼっち」と呼ばれているそうです。

甘味は形も可愛い「四ツ溝柿」
四ツ溝柿
静岡県名産の渋柿ですが、もちろん渋は綺麗に抜いて瑞々しい甘み十分。とても美味しい柿でした。さらに金時芋の汁粉が出て終了。スクランブルエッグが有名なビ◯ズが「世界一の朝食」と言われていますが、特に日本人にとっては間違いなくこちらが世界一でしょう。

その地で取れたものを、たいした工夫もなく出して素材の味と宣う傾向もありますが、その旨味をきっちり引き出してこその「素材の味」、地の食材を多用し、たりないものは他から調達し、洗練された料理に仕上げるセンスが素晴らしい。最初にメニューを考えた方は凄い。毎年内容はそれほど変わらないそうですが、同じ料理を出して完成度を高め続けるという方法も非常に好感が持てます。季節を変えたまた来たいっ!感動しました!

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