「狩野派 ─画壇を制した眼と手」出光美術館

「狩野派 ─画壇を制した眼と手」出光美術館
3月22日までの開催予定でしたが、コロナウイルスの影響で3月1日で終了。。。悲しいです。

ただ、展示としてはいつもより小規模な感じで、あまり面白くなかった。。。興味深いのは、古画が狩野派の当主たちのもとへ持ち込まれ、真贋や筆者の判定を任されていたこと。粉本は、絵師が制作の参考にするための古画の模写や写生帖の総称。粉本を見たり模写したりすることで、狩野派の絵師たちのレベルも上がっていったという。展示品44点のうち、狩野派の作品でない古画が25点と多すぎて期待外れ。

13世紀初頭の宮廷画家の梁楷が作者と伝えられる「猪頭図」の由来が面白い。唐の禅僧、盤山宝積(ばんざんほうしゃく)が肉屋で見た光景により悟りを開いたというもの。客が「上等の肉をくれ」と注文したところ、店主が「当店によくない肉はありません」と答えたという。何事にも善い悪いはないということ。

あと面白かったのは、狩野尚信の「平家物語 小督・子猶訪戴図屏風」、小督(こごう)はお能の演目にも取り上げられています。一度拝見したいものです。狩野探幽の「源氏物語 賢木・澪標図屏風」、「賢木」は、野宮の六条御息所を光源氏が訪れる場面。外で待つ従者が退屈しまくっているのが楽しい。「澪標」は光源氏の住吉神社詣の場面、華やかな源氏一行を遠くの船から眺める明石の君が描かれる切ない場面。謙虚な明石の君は、好きな登場人物の一人です。

現在、美術館はどこも休館中、状況を考えると大変ですが、早い再開を願います。芸術の力は偉大ですよ。4月4日から出光美術館で開催予定の「茶の湯の美」展は前売り券も購入、楽しみにしています。

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