「日本初期写真史 関東編 幕末明治を撮る」東京写真美術館

「日本初期写真史 関東編 幕末明治を撮る」東京写真美術館
「志の輔らくご」は中止になりましたが、せっかく代官山まで来たので、恵比寿の東京写真美術館3Fで開催中の「日本初期写真史 関東編 幕末明治を撮る」を鑑賞いたしました。

まずはヨーロッパで発明された写真の技法説明から。フランス人のダゲールが考案したタゲレオタイプ、英国のタルボットが考案したカロタイプ、日本で最初に広まったコロディオン湿板方式、さらにアンブロタイプにゼラチン乾板、カロタイプ、一応説明は読みましたが、30分で忘れるでしょう。よく美術館の写真作品で見るゼラチン・シルバー・プリントは、白黒写真の印画紙の総称で、ゼラチンに臭化銀な
どの光に感じる物質を混ぜ、紙に塗って乾かす。小さいネガからの引き伸ばしが簡単なことも魅力。などなど。

展示されていた写真の中に『中村米吉 妻志げ』を発見!明治10年頃というと初代か。ちなみに歌舞伎役者の初代中村米吉はその後、初代中村梅枝 →初代中村時蔵→三代目中村歌六と名前が変わっている。今でも活躍されているお名前ばかり。しかしよく見ると中村写真館で撮影されたと記載されていたので、もしかしたら一般人の米吉なのか?謎です。

当時の偉い人を写した写真よりも、惹かれるのは市井の写真。下岡蓮杖による『相撲』(チラシの写真、実際は縦9cmほどと小さい)『傘をさす女性』や清水東谷による『子供の花売り』『果物売』『笊味噌漉売』など。脚色が全くなさそうで興味深い。オーストリア出身の写真家ライムント・フォン・シュテイルフリートにより1872年(明治5年)撮影された初の天皇写真『天皇陛下と御一行』はまさかの隠し撮り。未知の天皇陛下のブロマイドを海外に販売しようとしていたというから商魂逞しい。

さらに当時に風景、1864年頃のぎりぎり江戸の愛宕神社、愛宕山からの景色を写したフェリーチェ・ベアトの作品。現御茶ノ水に建築中のニコライ堂の足場から360度撮影した『明治二十一年撮影 全東京展望写真帖』も素晴らしい。皇居以外に目印になる建物が全くなくどれも同じに見えるけれど。現代の写真と並列するなど、もう少し展示を工夫して欲しいです。浅草や芝増上寺の写真に手彩色したスライドショーも、色付けがリアルで素敵。思ったのとは少し違う印象でしたが、勉強になる展示会でした。

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