「人、神、自然-ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界-」東京国立博物館

「人、神、自然-ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界-」東京国立博物館
久しぶりの美術鑑賞、上野の森美術館の「ゴッホ展」、東京国立博物館本館の「高御座と御帳台」の無料観覧の大行列を尻目に東洋館へ。空いています!ちなみにアール・サーニさんはカタールの王族だそう、世界各国の古代文明の人、神、動物の名品が沢山拝見できました。

「バクトリアの女王」は小品ですが、迫力満点、エレクトラムという自然に出来た金と銀の合金で出来ています。製作が紀元前2,000年前後というから恐るべし。紀元前1,300年頃の小さな小さなエジプトの「男性像頭部」は赤い顔に長髪で、まるで能の猩々のよう。金製の「帯飾り」は布のように金で編まれた超絶技巧、金の「水差し」のプロポーションも可愛い。貴石で出来たものも多く、ラピスラズリはアフガニスタンでしか取れず、瑪瑙は加熱処理することで模様を目に似せ魔除けとして使用するそう。

一番感動したのはアナトリア半島(現トルコ付近)で紀元前3,000年前後に作られた大理石製の首長1本足の「女神像スターゲイザー」、星を見つめる者という名前の通り、人間的な姿はしていますが一線を画す神秘的な姿、素朴でありますが、原始的で純粋なフォルムが美しい。チラシ左下に掲載されている緑の「仮面」も良い、動物を形どった帽子なんて、現代のファションそのまんまではないですか?紀元前3,000年代の銅製の「精霊像」はアイベックス(ヤギ)の角と耳、とんがり帽子にとんがりブーツと現代にも全く通用するビジュアル。アラビア半島の100年頃の「浮彫」も面白い、こんなおばちゃん、日本にもいっぱいいるでしょ!カバの牙で出来た「クラッパー」は手と腕の形を模した打楽器だそう。

動物コレクションの中、「ネコ」が一匹だけおり、中にネコのミイラが入っていたそう。パステトはエジプト神話に登場するネコの女神で、古代エジプトの都市ブバスティスでは30万体のネコのミイラが発見されたとか。今月復活する「ブリヂストン美術館」改め「アーティゾン美術館」の「聖猫」に会いたくなりました。「ヒヒ」はトト神を表したもので、死者はトト神に心臓とマアト(真実)の羽の重さを比べられることで悪行の深さを調べられるとか。「リュトン」は古代のペルシアからギリシアを含むバルカン半島で使用されていた酒器で、角笛状のものなどが多い。その中で、馬を形どったブルーのガラスのものがフォルムも可愛くて印象的。中央にヤギ、周囲にライオンの像が飾られた「水差し」、説明によればライオンがヤギを護っているそうですが、逃げないように見張っているようにも見えます。エジプトの「化粧用容器」はカモ、カモは女性らしさや性的魅力を表すそう。今回の展示とは関係ないのですが、「セクメト」というライオンの頭を持つ像、破壊神、復讐者であり、王の守護神とされるそうで、中国の獅子との繋がりがありそうで興味深い。それほど大きな展示ではありませんが、見応えのある内容でした。古い物って良いですね。

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