歌舞伎座で「六月大歌舞伎 第一部」を拝見しました。一本目は『菅原伝授手習鑑 車引』から。
配役
梅王丸:坂東巳之助(大和屋)
桜丸:中村壱太郎(成駒屋)
杉王丸:市川男寅(滝野屋)
藤原時平:市川猿之助(澤瀉屋)
松王丸:尾上松緑(音羽屋)
最初は深編笠をかぶった梅王丸、桜丸の二人舞台、笠を外すまでが意外と長く適度にじらしてくれます。巳之助君も荒事のお役が、良い意味で小慣れてきた感じ。見得や普通に立っている時の足の親指の張りは一番なのでは、幕切れの三重のジョジョ立ちみたいなポーズも素敵。松緑さんは相変わらずな感じですが、隈取が変わってる(チラシとは全然違う)?目が大きく見える効果があるのかな。男寅君の杉王丸も子供っぽさのある、あどけない感じが良く、猿之助さんの顔芸も炸裂、とぼとぼ静かに舞台から去っていく牛も切な可愛い。車ぶち壊しや時平の妖術など歌舞伎らしい見所が多く、外連味のある素敵な舞台でした。
二本目は、澤瀉十種の内『猪八戒』、歌舞伎座の本興行では初代市川猿翁の初演以来、95年ぶりの上演だそう、竹本囃子連中による舞踏劇、台詞は義太夫の語りによるため一言も喋らないのか。
配役
童女一秤金実は猪八戒:市川猿之助(澤瀉屋)
孫悟空:尾上右近(音羽屋)
沙悟浄:市川青虎(澤瀉屋)
村長張寿函:市川寿猿(澤瀉屋)
女怪緑少娥:市川笑三郎(澤瀉屋)
女怪紅少娥:市川笑也(澤瀉屋)
霊感大王実は通天河の妖魔:市川猿弥(澤瀉屋)
困っている村人たちの話、霊感大王に捧げる舞から。玉虫色の衣を被りながら登場する童女ですが、すぐに待っているのに飽きちゃう。酒をがぶ飲みした後、天の川を見て自分の出自を語り出します。全然知りませんでしたが、猪八戒は、もとは天の川にいて、女癖の悪さから地上に堕落し、人間に生まれ変わるはずが豚になっちゃったとか。寝ていたところに霊感大王がすっぽんから登場。衣装が格好良いけど、体系的には猿弥さんの方が猪八戒っぽいと思わずにはいられません。猪八戒に翻弄される大王が可愛い、酒好きの大王に因んで猩々舞などを踊りますが、猿之助さんの踊りは体のブレが少なくて、見ていて気持ちが良い。最終的には悟空や沙悟浄もでてきて激しい立ち回りになりますが、大王軍団の動きが凄すぎて一番機敏なはずの悟空が霞むか。2本の棒を使っての2連続横回転もなんとか成功、ちょっとはらはらしました。そして終盤、すっぽんから登場した笑也さんの女怪紅少娥が美しさは大鼻血級、手篭めにされてみたいわー。動きが早いので、3階席から双眼鏡ではあまり追えなくて残念。1時間ほどの演目でしたが、澤瀉屋のチーム感が凄く感じられる楽しい演目でした。
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