能楽「3月特別公演 能『采女』/ 狂言『左近三郎』」国立能楽堂

「3月特別公演 能『采女』/狂言『左近三郎』」国立能楽堂
国立能楽堂で「3月特別公演」を拝見しました。

配役
「3月特別公演 能『采女』/狂言『左近三郎』」国立能楽堂

狂言『左近三郎(さこのさむろう)山本則俊(大蔵流)
まず読み方が素敵「さこんさぶろう」ではなく「さこのさむろう」と読ませるのが良い。15分ほどの短い演目で、狩人の左近三郎が、狩に行く前に僧に出会うとは幸先が悪いと禅宗の僧に絡む話。達磨大師の「殺生せよ殺生せよ、刹那も殺生せざれば、その身地獄へ矢のごとく」や「一心に生ぜざれば万法にとがなし、とがなければ法なし、法なければ仏もない」という言葉を持ち出し、僧との問答(屁理屈?)が始まります。終盤の「鹿を殺せば、お前が鹿になる」という僧に対して、「では僧を殺して僧になろう」と言い返す三郎に爆笑。桜の木の幹の中を見ても桜の花は無い。最後は結局意気投合、面白くて考えさせられる素晴らしい演目でした。

能 『采女(うねめ)美奈保之伝(みなほのでん) 観世清和(観世流)
天の帝からの寵愛が薄れ、その悲しみから猿沢の池に身を投げた采女の話。「美奈保之伝」の小書により、春日の神の由来を語る部分などがカットされ、采女の感情がより強調されるという。前半の采女の亡骸を見た帝の「翡翠のかんざし、嬋娟の鬢、桂の黛、丹花の唇」という描写は、ミレーの『オフィーリア』を連想させる幻想的な美しさ(オフィーリアはまだ生きているが)。客席に猿沢の池が現れるよう。しかしながら、途中の采女の死体が酷かったという里人の話で少し醒める。しかしながら観世清和さんの演じる女性は素晴らしい、「月に啼け・・・」からの、池の上で静かに長く舞う、序の舞は妙霊。そして本日仕様の面は前シテ「まさかり」、後シテ「小夜姫(さよひめ)」、特に「小夜姫」の表情が、良い意味でえげつなかったな。来月の靖国神社「夜桜能」も楽しみです。

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