国立能楽堂で「「狂言ござる乃座~70th Anniversary~」東京公演を拝見しました。
舞囃子「善知鳥 翔入」片山九郎右衛門
久しぶりの善知鳥でしたが、やはり怖くて震える。化鳥が怖過ぎる。
「舟ふな」野村万作・三藤なつ葉
ショート狂言。遊山に出た主と太郎冠者、神崎の渡しで渡し船に「ふなや〜い」と呼ぶ太郎冠者に対し、「ふな」でなく「ふね」と嗜める主。それに小歌や謡で反抗する太郎冠者。孫にお爺ちゃん(人間国宝!)がやり込められている構図も重なり爆笑。
「釣狐 白狐之習」野村萬斎・野村裕基
ずっと拝見したかった釣狐、初鑑賞!橋掛からには薄など秋草の作り物が置かれます。老狐は少し上げられた揚幕から一瞬で登場。歌舞伎の狐忠信などより、よっぽど動きが気持ち悪い!良い意味で!今回は前場後場を白狐の一面で、室町時代の狐面を吊り顎に改良したもので、口がふがふが動くのが怖いです。犬の鳴き声や狐釣りにはまった理由を説明する漁師の話にビビりまくる老狐が楽しいですが、一般的な狂言に比べ雰囲気が重々しいせいか、客席からは大きな笑いが起こらない。野村裕基さんを拝見するのは2年ぶりでしたが、上手くなっておりびっくり、萬斎さんにお声がそっくり。長い長い玉藻前、殺生石の語りの場面は、難易度高いですが、妖しい雰囲気が抜群。罠を捨てさせ、帰る途中、罠に鼠の油揚げを発見。罠と分かっていながら杖で突いたり、手で軽く触れてみたり。「思い切って古塚へ帰ろう…」と言いながら、諦めきれず「きしゅきしゅきしゅ(涎の垂れる音?)」と奇声を発する件がしつこくて爆笑。後場はくるんと回って衣を脱いだり、シテ柱に頭をぶつけたりとサービスシーンも。狐と猟師のやりとりはなかなかスリリング、俄然狐を応援してしまいます。追いかける猟師を茂みに隠れてやり過ごした後、揚幕近くで可愛い狐の仕草を見せた後、一声鳴いて、揚幕に飛び込みました。若いと思っていたら、もうすぐ還暦の萬斎さんの動作と声色、堪能させていただきました。初の『釣狐』ということもあり記憶に残る舞台でした。
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