9月企画公演 蝋燭の灯りによる 能楽『竹生島』/狂言『磁石』」国立能楽堂

9月企画公演 蝋燭の灯りによる 能楽『竹生島』/狂言『磁石』」国立能楽堂

国立能楽堂で9月企画公演を拝見しました。月間特集は『刊行400年 仮名草子「竹斎」と能』とのこと。初めて知った「竹斎」は藪医者の竹斎が京から江戸に下る物語だそう。

配役

9月企画公演 蝋燭の灯りによる 能楽『竹生島』/狂言『磁石』」国立能楽堂

狂言『磁石(じしゃく)野村萬斎(和泉流)
都合により配役変更で、すっぱが野村萬斎さん、茶屋が月崎晴夫さん。最初はちょっと太刀盗人にも似た雰囲気、実は人身売買の怖い話。金百疋=一分なので田舎者の代金、五百疋から値切られた三百疋は5〜7万円くらいなのでしょうか。田舎者がちゃっかりしているのが楽しい。自分を磁石の精と名乗るとはなかなか強者。すっぱが刀を鞘に収めて力が無くなる時の「まくまくする」という表現が可愛い。意外と優しいすっぱと、意外と悪どい田舎者という逆転が皮肉たっぷりな狂言でした。 

能楽『竹生島(ちくぶしま)金春安明(金春流)
蝋燭によるほの暗い灯りが想像力を高める絶大な効果を発揮して、とても楽しい。内容も単純でコトバもフシもとても聞き取りやすい。琵琶湖周辺の美しい風景、月と兎波、白雪のように散る桜の花が美しい前場。面を付けていると下が全く見えないため、老人と女が作り物の釣舟に乗り込む所は少しハラハラ。間狂言で社人が見せる霊宝は、宝蔵の鍵、二又の竹、馬の角、牛の玉、七難の揃毛、天女の数珠と胡散臭いですが、そのうち竹と数珠は本当に収蔵されているそう。秘術の「岩飛び」は大失敗で「くっさめ」の一言、美しく波間に消えていった翁との対比が面白い。後場、虚空から音楽が聞こえ、月の光に翻る天女の袂が見えるのは言葉にならない美しさ。龍神が現れると弁財天は臣下の横に座りますが、横に座られたら緊張する。龍神は臣下に珠玉を授け、勇壮な舞働(まいばたらき)、二段階の舞がとても贅沢で感動的でした。今日の面は前シテ「三光尉」、後シテ「黒髭」、ツレ「小面」でした。

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