国立劇場小劇場で「桂文珍 大東京独演会 vol.15」を拝見しました。緞帳が上がると早速、文珍師匠が登場、最初に一番弟子の桂楽珍さん司会で客席からリクエストを。流行のチャットGPTに文珍が演じるための「夏の医者」を作らせた話、短く面白くはないですが、一席演じるサービスも。沢山の演目が橘右橘さんの寄席文字で書かれたパネルがお勧めですが、別枠に記載されたお勧めは「」携帯供養「夏の医者」「船弁慶」「デジナン」の4つ。私は文楽の劇場ですし「新版・豊竹屋」が聞きたかったですが、事前に集めたアンケートでは「地獄八景亡者戯」が1位だったそう。
「手水廻し」桂楽珍
方言がいかついという鹿児島県徳之島のご出身、笑福亭仁鶴師匠のロールスロイスを移動している最中に婦人警官に止められ、焦って方言で答えてしまい中国人と間違われるマクラが爆笑。急に訪ねてきた両親の彼女を見られて「妹です!」と答えたエピソードも微笑ましい。
「携帯供養」桂文珍
ワクチンを六回も打ってもうやめられなくなった、清原に聞いてみよ、男と女の区別が付かない、嘘発見器などマクラが面白い。時世を反映した新作落語、ミニカーに滑って転んで亡くなった父の墓があるのは携帯山ログ院今何寺、クラウ堂、五重のアカウン塔もあるのか。母親が見つけた父のリュックサックから出てきた赤い水玉のワンピースから妙な展開に、カミングアウト大会に。父は母で母は父、兄は姉で姉は兄、坊さんも実はという明るいダイバーシティ。下げは「掃除せんと法事せぇ」
「反対俥」林家つる子
2022年のNHK新人落語大賞で披露した演目、その時の審査員が文珍師匠だったそう。今まで見た中で一番アグレッシブな落語だったかも。高崎で乗ったタクシーの運転手さんに、つる子さん本人が乗っていると知らずに「なかなかの器量」と言われた話。マクラがもう少し面白かったら最高なのにな。落語は上手にアレンジされており、浅草から上野、上野から電車で高崎へ行こうとしている女性が主役で、出てくるのは猪突猛進な俥屋のみ。ドラム缶を3個連続で飛び越えたり、川(天竜川?)を越えようとして失敗、川に飛び込んだりして気付けば浜松、上野に戻る時は客席に背中を向けて臨場感たっぷりに、その後のワンエイティも綺麗に決まって拍手喝采。「芸者を上げるくらいなら車引きなんぞやってない」という下げのスカしも面白い。下げは「鰻gが一本付いてきた」、汗だくで本当に一生懸命、落語好きが伝わり好感が持てる。反対俥をやることは決めていたと思われますが、客層の年齢層はかなり高め、若い客層だったらもっと盛り上がるる演目な気がいたします。
「老婆の休日」桂文珍
客席のリクエストから。病院でのお婆ちゃんが繰り出す大量のボケが楽しい演目。心臓マッサージがとどめだったり、ガス爆発しかけて前髪が茶色になったり、若先生の前で舌と下を間違えたりブラックな内容ですが、わかりやすく今日一番ウケていたよう。通販番組の夢グループの社長がわからない。。。
「地獄八景亡者戯(前半)」桂文珍
もう何でもありでっせというホイットニー・ヒューストンのホログラムライブの様子の真似から。チケット13,200円は確かに高いような。CDでよく拝聴しているネタですが、所々アップデートされているのが楽しい。お囃子がふんだんに入るのが上方落語らしい風情でとても良い。桂文珍近々ご来園の件で下げ。最後はホイットニー・ヒューストンで何やら目出度げに幕が降りました。いつかフルバージョンで拝見してみたい>「地獄八景亡者戯」です。
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