鈴本演芸場で「11月上席 夜の部」を拝見しました。最初の客入り10人ほどと寂しいが、これはこれで有り。
前座「一目上がり」三遊亭まんと
「権兵衛狸」鈴々舎馬るこ
リズムに乗った「床屋の権兵衛」の言い方、相変わらずくすぐりも楽しい。下げは「今夜髭やってくんねぇ」
「太神楽曲芸」翁家社中 和助・小花
「豆屋」桂やまと
金魚屋、鰯屋、大根屋、牛蒡屋、卵屋などに売り声が凛々しいが、本編は眠気が。下げは「オレんとこじゃ、買わねぇんだよ」
「江戸会話教室」柳家小ゑん
ある男が英会話教室と思ってやってきたのは江戸会話教室で。「これは筆でござる」など内容は超初級の英語と変わらず。「上様っ!?」「御無礼にございました」
「紙切り」林家楽一
横綱の土俵入り、タイガース、鈴々舎美馬、ピクミンと春風亭いっ休。
「天国と地獄」鈴々舎美馬
二つ目昇進おめでとうございます。前座時代に初めて高座に上がり、披露した金明竹を聞いていた馬風師匠の発言から生まれた「いい間の美馬、見守って」がコンセプトなのか。前座のころはできない新作をご披露。自分が楽屋で落語家の爺ぃに壁ドンされて死(壁ドン死)んで地獄に落ちた話。閻魔への対応が軽くて早くてマンガチック、令和のノリ。木場の黒歴史のバイトの話が爆笑。転生するのは猫、レモンなど。レモンの時の、ずざーっ、は意味がわからないが面白い。下げは「生まれ持った転生の才能がありますから」
「座席なき戦い」三遊亭白鳥
アメ横で3本500円で売っていた「5番アイアン」、馴染みの鮪屋にもらってでかい「鮪の頭」、鮪の頭も持って乗った満員の「山手線」で鮪の口から汁が噴射といったエピソードから作った三題噺。神田から新宿まで3人シート(優先席)の端で寝たいサラリーマンとオバサン2人の戦い。ヘビメタを聞くヤンキー、5番アイアンを杖代わりに立たされる膝の悪いお爺さん、マグロの目の周りのニュルニュルが潤滑剤、最後、テコの原理を使って5番アイアンでサラリーマンを押し出すのが面白い。下げは「ゴルフクラブか、オバサンに振り回された」
「漫才」風藤松原
不思議な漫才、キッコーマンとAUのコラボ、パンキッシュな鎖のチェーンが隣のおじさんの磁気ネックレスにくっついている、落としたコンタクトが洗面所の中央の丸い銀色の蓋の上に、アップル坊主、リンゴの香りのキャンドルにお婆ちゃんの歯型など妙なあるあるネタの連発にはまりました。素晴らしい。
「半分垢」むかし家今松
流れが変わる古典落語、「大きいと言ったところで半分は垢でございます」
「粋曲」柳家小菊
「犬の遠吠え 新内流し だれか相手の 欲しい夜」「会えば短い 会わねば長い 待てばなおさら 長い夜」などの都々逸、「炭坑節」「角力甚句」など。
「味噌蔵」柳家わさび
新作かと思ったら古典か。先週一之輔師匠の「味噌蔵」を聞いているだけに分が悪いか。少々詰まりながらも、忠実に。倹約クソメガネが面白かった。下げは「うちの味噌蔵に火が入った」
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