
文京シビックホールで「令和7年2月文楽公演 通し狂言『妹背山婦女庭訓』第二部」を拝見しました。
配役

ほぼ上演されない部分で初めて拝見するのが楽しみ。第一部、第三部と比べて上演時間も2時間程度と短く、若手中心の見やすい第二部です。「猿沢池の段」は10数分と短いですが、帝が芝六の家に行く流れがよく分かります。爪黒の可愛い牝鹿が弓矢で打たれるだけの「鹿殺しの段」はメリヤスで、大納権兵衛のボケっぷりが楽しいコミカルな「掛乞の段」、続いて賑やかながらも帝の哀れさが際立つ「万歳の段」、豊竹芳穂太夫さんおお声が清らか、淡海から勘当を赦免されることを告げられ喜ぶ芝六から急にシリアスなメインの「芝六忠義の段」へ。妹山背山の段に劣らず、劇的な段、義理の父を庇い捕えられる健気な三作、酔っ払っていると見せながら鋭い目線と懊悩を見せる芝六、芝六が何故、忠義を示すために杉松を殺さなければいけないのか、頭では何となく分かっても、心では全く理解不能。劇的な場面なのに心に沁みてこないのはこのためでしょうか。しかしながら千歳太夫さんの熱烈さが素敵、子供や女性の語り分けも上手い。最後は掘り出された八咫鏡により帝も目が見えるようになり、何となくハッピーエンド。初めて拝見する部分でしたが、作者近松半二のプロットの巧みさが感じられました。
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