『第三回 古典芸能を未来へ~至高の芸と継承者~「長唄」』国立劇場

第三回 古典芸能を未来へ~至高の芸と継承者~「長唄」
国立劇場 大劇場で『第三回 古典芸能を未来へ~至高の芸と継承者~「長唄」』を拝見しました。

合奏曲「連獅子」 杵勝会
幕が上がると十二段の雛壇に200人が座る姿は圧巻、しかも全員、師範か名取だとか。気付きませんでしたが、勝禄女というお名前でコシノヒロコさんも参加されていたそう。10分ほどの短縮版ですが、気分が上がる「連獅子」でした。

杵勝三伝の内「虎狩」
上の巻 (唄)杵屋勝四郎(三味線)杵屋勝国ほか
下の巻 (唄)杵屋利光(三味線)杵屋小三郎ほか

近松門左衛門の『国性爺合戦』の二段目切、「千里ヶ竹虎狩りの段」を長唄に写したもの。こんな勇壮な長唄もあるんだと驚きました。ちゃんと意味のある物語なので、聞いていて情景が浮かび楽しい。下の段、最初の杵屋小三郎さん、勝十朗さんの三味線が凄い!コシノヒロコさんの抽象と具象の間のような水墨画風の背景画も素敵でした。

「喜三の庭」(唄)杵屋勝之弥(三味線)杵屋勝禄(箏)米川敏子
お能の『小督』から着想したものだとか。箏の済んだ音色が切なく美しい。

七世杵屋勝三郎を偲んで「時雨西行」(唄)杵屋東成(三味線)杵屋勝三郎ほか
お能の『江口』から着想したものだとか。最後の詞章が七世杵屋勝三郎七回忌法要時に唄われた追善の歌詞に変更されていました。

長唄名曲メドレー
「抄曲集」~二世杵屋勝三郎作曲集~(舞台画・コシノヒロコ)
廓丹前(唄)杵屋勝之弥(三味線)杵屋勝進次ほか
春の調(唄)杵屋東成(三味線)杵屋勝寿治ほか(箏)米川敏子
風流船揃(唄)杵屋勝昭(三味線)杵屋勝如ほか
昔噺狸(唄)杵屋勝彦(三味線)杵屋勝松ほか
清滝三重(三味線)杵屋小三郎・杵屋勝司郎ほか
船弁慶  杵屋勝三郎ほか杵勝会

女性だけで演奏された『風流船揃』から花道、廻り舞台、セリなど舞台装置を生かした演出に。文福茶釜、かちかち山から着想した『昔噺狸』がとにかく楽しい。途中で犬の遠吠えや狸の台詞、今年、重要無形文化財(人間国宝)に認定された杵屋東成さんをいじるアドリブも。『船弁慶』前半は花道の演奏でしたが、聞き取りにくい。最後は50人以上による演奏、大勢になる迫力はありますが、詞章は聞き取りにくくなるのが残念。

舞踊「高尾懺悔」
高尾太夫:坂東玉三郎(唄)杵屋勝四郎(三味線)杵屋勝国ほか

久ぶりの玉三郎さんの舞踏、しかも5列目中央というとても良いお席で。舞台には青紅葉の木と灯籠、「高尾が姿あらはれて」でせりから玉三郎さん登場、お美しいのはもちろん、舞台を支配する力が凄い。廓の春夏秋を唄った部分「灯籠踊の一節に」の部分の手を前に伸ばし、少し上を見上げた姿が美し過ぎた。とても悲しい詞章、しっとり、しんみりと幕が降りました。歌舞伎でいつも玉三郎さんの舞踏公演の時は長唄が圧倒的に巧いと感じていた理由がわかりました。

公演時間4時間と長めで眠ってしまわないかと心配でしたが、全くの杞憂でした。伝統芸能って良いですね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました