浅草木馬亭で「浪曲定席木馬亭 2024年新春特別公演」を拝見しました。
「阿漕ヶ浦」玉川わ太/曲師:玉川みね子
「左甚五郎 京都の巻」東家志乃ぶ/曲師:伊丹秀敏
何度も聞いている演目ですが、安定感のある声とリズム感が心地良し。
「は組小町」富士綾那/曲師:沢村博喜
ここのところ毎度の「は組小町」ですが、徐々にアップグレードされているのが分かり、三味線もこれくらい鳴ってる方が好き。グダっとならない終わり方がとても良い。
「深川裸祭り」港家小そめ/曲師:玉川祐子
101歳でもすこぶるお元気な玉川祐子さん、声もよく出ている。有難や。高いところから落ちて失明してしまった鳶職の仙太、息子仙吉は父子家庭、深川祭りの半纏も買ってやれず、仕方なく仙太の半纏を詰め、大きい足袋を履かせて送り出したところ、子供たちに揶揄われてしまう。そこに唐突に新門辰五郎登場、神輿は心で担ぐものの一言が格好良い。
「勧進帳」真山隼人/曲師:沢村さくら
テーブルかけに記載された、主張の強い「加藤商事 社長 加藤精一」は「つるとんたん」や「ふふ」を経営するカトープレジャーグループの前身なのか。演目は嬉しい勧進帳、「旅の衣は篠懸の〜」と長唄の詞章から始まり、関守は「冨樫」という名前は出てこず「左衛門成澄」、偽山伏と左衛門にはバレている設定、時間の関係からか四天王、左衛門が追いかけてくる描写はカットですが、弁慶と左衛門の攻防は見ている方も力が入る熱演でした。
「山本南龍軒~無心は強い」宝井琴梅
橋爪功さん似た優しい風貌、松下幸之助が1960年に再建したという浅草の雷門、どうしても起こせない雷神をお婆さんが軽々起こしてしまう、雷おこしのマクラが楽しい。いかつい見た目を利用して、道場破りを繰り返す祭文語りの南龍軒。ひょうひょうとした雰囲気が琴梅師匠にぴったり。
「隅田川乗っきり」花渡家ちとせ/曲師:馬越ノリ子
寛永3年正月7日の江戸城での道場開きの話。家光にわざと負ける家来たちを嘲笑い、家光に胴を打ち込んだ阿部善四郎忠秋、その後、不遇の時を迎えるが、翌年春の江戸の大雨で濁流となった隅田川を馬で乗り切ったことで名誉を挽回するめでたい話。たまに登場する大久保彦左衛門の機転とユーモアが冴える。
「慈母観音」東家三楽/曲師:伊丹秀敏
仏師淳慶に育てられた捨て子の藤五郎、五代将軍綱吉の生母桂昌院から頼まれた観音像を藤五郎に任せるが、観音像に花魁の顔を刻んだことで放り出されてしまう。その後の陸奥の道行の詞章が素敵。酒田娘のおばこ節、良いです。何で藤五郎が大金を持っていたか不思議で、泊まった先で藤五郎を庇って死んだ女性おたかが実母だったのは出来過ぎですが、絞り出すようなお声は祈りを捧げるようでした。
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