令和4年12月文楽公演『本朝廿四孝』国立劇場

令和4年12月文楽公演『本朝廿四孝』国立劇場
国立劇場 小劇場で令和4年12月文楽公演『本朝廿四孝』を拝見しました。歌舞伎では四段目の「十種香」「奥庭狐火」しか上演されないため、今回繋がりがよくわかって面白かった。勝頼!そういうことだったのか!

配役
令和4年12月文楽公演『本朝廿四孝』国立劇場

まずは、二段目「信玄館の段」「村上義清上使の段」「勝頼切腹の段」「信玄物語の段」を通して、上演機会が少ないだけあって、それほど面白い部分ではなく、けっこうな眠気が。上使の村上義清がけっこう粗雑で暴力的で血も涙もないキャラでひくわ〜。切り取られた朝顔が萎む時間ってどれくらいなんでしょうか。腰元濡衣役の吉田一輔さんが嫋やかで良い。お若く見えますが、50歳越えてるにびっくり。

休憩の後、四段目「景勝上使の段」「鉄砲渡しの段」「十種香の段」「奥庭狐火の段」「道三最期の段」を通して。やはり四段目は面白い!「景勝上使の段」は父の謙信に、自分を切れと上使に来る息子の景勝、父というか家への愛情は感じますが、やりとりが少しとんちんかんで面白い。「鉄砲渡しの段」は黒幕の道三に、足利義晴暗殺に使った鉄砲を渡す場面、鉄砲が牢屋に閉じ込められており、そのやりとりがこれまたとんちんかんで面白い。道三、度胸十分、渋みもあり格好良いですねぇ。「十種香の段」は勝頼そっくりの蓑作に気づき、熱狂的にアタックする八重垣姫がチャーミング。蓑作にしなだれかかり、離れる時に潰れた肩衣を、さっと直す仕草とか可愛過ぎる。そして、そんな八重垣姫を見て完全に引いてる蓑作と濡衣に爆笑。「奥庭狐火の段」は八重垣姫を遣う蓑二郎さんらお三方の動きが凄く激しくて凄い、左遣いの方も兜を片手にぐるぐる回ったり、連携も凄い。狐軍団も可愛らしく、武田家上杉家の作戦と全く関係無く、愛のみで動く八重垣姫は異色です。最後の「道三最期の段」は30年ぶりの上演だとか、通しだ上演されてこそ面白い、最後に義理を通す道三、悪役ながらやっぱり格好良い。太田道灌の子孫で落語でもお馴染みの「道灌」、「七重八重 花は咲けども 山吹の 実のひとつだに なきぞかなしき」と美濃がかかっているのも楽しい、手弱女御前の身代わりとなって死んだ、自分の実の娘の濡衣の首を「憎い女」とバシバシ地面に叩きつける道三に引いちゃうが、そして最後に「身の終わり(美濃尾張)」とダジャレを放つ余裕が流石。黒幕の斎藤道三と娘の濡衣の関係性が知りたいです。

やっぱり通し上演は楽しい!来年の文楽公演も楽しみにしております!

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